企業が注力すべき要素として「サステナビリティ」(Sustainability:持続可能性)の重要性が認識されてきている。企業が事業活動を持続していくためには、環境に気を配り、社会的責任を果たしていくべきであるとの発想が根源にある。
こうした考えが広まりゆくなかで、SAPはサステナビリティへの取り組みを強化しており、日本でも7月に環境対応をサポートするサステナビリティ関連ソリューション分野への本格参入を発表している。
同社のサステナビリティ戦略と方向性を、SAPで最高サステナビリティ責任者を務めるPeter Graf氏に聞いた。
SAPが規範を示し、サステナビリティソリューションのリーダーにもなる
今なぜ、サステナビリティが重要視されているのか?
サステナビリティが重点化されるようになった背景には、大別して3つの要因がある。
1つ目は、過去15年ほどの間にグローバル化が大きく進展したこと。2つ目は環境問題によって商品価格が高騰していることが挙げられる。自然界から取り出す資源が地球の生産力以上のペースで消費されており、かつ人口の増加という要因も絡み合いながら、商品の価格を上昇させているのだ。3つ目は社会的側面。企業が果たす社会的責任が重要になっている現在、企業はどのような取り組み行っているかを具体的に示すことが求められるようになっている。
SAPのサステナビリティに対する基本戦略とはどのようなものか
まず第一にSAPはサステナビリティの規範を示す企業になりたいと考えている。そして、サステナビリティソリューションを提案するリーダーのような存在になることを目指している。
個人や企業の活動によって排出される温室効果ガスの重量を示す指標である「カーボンフットプリント」(Carbon Footprint)は、SAPでは年間50万トンにおよぶ。しかし、当社のソフトウェア製品の顧客は、そのまた1万倍の量を排出する。これは非常に大きな数値だ。
我々は自社内でカーボンフットプリントの削減について学んでおり、それを活かしたソリューションを提案していきたいと考えている。ビジネスプロセスに関するソリューションは既に9万社に提供しており、サステナビリティ関連ソリューションをこれらの企業に供給できれば大変おおきなビジネスになる。