セールスフォースのジョイントベンチャー「FinancialForce.com」--行方はいかに - (page 2)

文:Paul Greenberg(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子

2009-10-21 08:00

筆者の見解

 彼らがどのような市場の獲得を目指しているのかについては、筆者もまだはっきり掴みきっていない。NetSuiteと同じ市場(中規模あるいはその上の規模の企業向け市場と、より規模の大きなエンタープライズ市場の一部)を目指すというのであれば、FinancialForce.comはSAPが得意とする分野に真っ向から挑むことになる(おそらくOracleが得意とする分野とも一部重なっているものの、SAPとの競合の方が厳しいものとなるだろう)。しかし、それだけではない。小規模企業向け市場において、FinancialForce.comは会計ソフトウェア大手のSageと競合することになるかもしれない。ご存知の通り、SageはCRM市場よりもバックエンドシステム市場に強いとはいえ、CRM市場でもあなどれない存在となっている。また、Sageの600万近い顧客の多くは、ACT!を始めとする同社の会計パッケージを利用している。さらに、この分野ではIntuitの存在も忘れてはならない--同社は小規模企業向けの分野で先頭に立っていると言ってもよいだろう。その上、Microsoftも相手にしなければならない・・・。詰まるところ、ベンチャー企業であるFinancialForce.comにとって、これは厳しい状況だということである。とは言うものの、(筆者の見る限り)少なくとも機能の点では競争力があるため、同社はある程度の成功を収めるだろう。ただ、現時点で市場に提供されている製品の品質や幅広さに目を向けた場合、この市場は既に成熟した状態にあると言えるため、厳しい状況であることに変わりはない。

 筆者は、Salesforce.com絡みのベンチャー、特に10年前に同社が興したWebサービス市場におけるベンチャーを軽視することができないと考えている。10年前、Benioff氏は懐疑論者であった私を納得させた。そして今、同氏は事務処理分野でも成功できるということを信奉者に納得させる必要がある。とは言うものの、クラウドの利用は有力な手段であり、差別化の源泉ともなるだろう。筆者は、Salesforce.comのこの分野への進出を素晴らしいことだと考えている。同社は新たな分野での成功に長けているのである。その1例として、最近発表された「Customer Interaction Cloud」を挙げることができるだろう。これは、同社の「Service Cloud 2」と「Cisco Unified Communications」プラットフォームを統合するというものである。とは言うものの、今回のような分野への進出はそれとはまったく勝手が違っているはずだ--市場はにぎわっており、イノベーターの出現を期待しているという状況にはない。しかしながら、新参企業(Coda 2Goという製品が存在したとはいえ、FinancialForce.comは新参企業である)が成功するには他社との差別化を図る必要があるという点では同じなのである。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ

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