一方、日本とともにまだIFRS採用を決めていない米国はどうか。
米国は2011年にもIFRS採用を決定するといわれている。現在、IFRSの取りまとめを行っている国際会計基準審議会(IASB)が米国会計基準とIFRSの“コンバージェンス(収斂)”作業を行っており、これによりIFRSの基準が一部変更され、財務諸表の考え方や構成に大きなインパクトを与える可能性もあり、これにも注目する必要がある。
もうひとつ留意しておくべきポイントがある。米国では2014年からIFRSが適用されると見られているが、米国の財務報告は3年併記であり、IFRS対応時が2014年であっても2012年、2013年の財務諸表もこの時点でIFRSによる開示の必要がある。
これらを想定し、米国は2011年には大きな変更項目をフィックスしなくてはならず、2012年または2013年にはIFRS適用の決算に対応できる体制が作り上げられていくと予想される。同時期にはすでにEUをはじめ、他の国でもIFRS適用が完了している。
一方、日本の財務報告は2年併記のため、2015年3月期には2014年3月期と2015年3月期の2期分の情報のみが必要であり、義務付けという観点から見れば2014年3月期に照準を合わせればよいということになる。つまり2015年ないし2016年に適用するといわれている日本の企業だけが、他国に比べて2〜3年遅れてしまうという恐れがある。
こうした状況に対し、最終的に資本市場がどのように反応するのか。また、他国のグローバル企業との競争力維持という観点からも、日本のグローバル企業にとって大きなダメージになる可能性をはらんでいる。