得られたデータをデータベースに蓄積し、基本戦略の策定などに利用する。これが戦略的BIの役割だ。次に分析的BIは、データウェアハウスなどを対象にOLAPツールなども使い、事業のどこに、どのような問題点があるのかを突き止める。最後に業務分野では、工場にいる従業員や顧客サポート要員といった現場の最前線に位置する人々への情報提供を担うことになる。彼らは、ほぼリアルタイムに近いデータを必要としている。業務分野のリアルタイムデータにアクセスできること。これこそが、他社のBIに対し当社が大きく優位に立っている点だ。
戦略、分析、業務の3層に分けることにより、BIをどう推進していくのか?
戦略的、分析的、業務的――これら3つのBIをどのように連携していけば良いのか、自動車の場合で考えてみたい。
車内のダッシュボードでは、赤いランプなどが点灯することで、何らかの異常を教えてくれる。たとえば、温度が上がりすぎていることがわかり、サーモスタットで何かあったのかと考えられる。つまり、異変の発生源を特定することができるわけだ。
そうなるとサービスステーションなどに出かけ、部品の交換や修理といった対策を講じることができる。このような措置の有無で、安全を保てるか事故が起きるかに分かれることとなる。
BIもこれに似ている。自動車で異常が見つかったというのは、戦略的BIによりKPIで問題点が発見されたようなものだ。となると、アナリストに分析してもらい、原因を特定できたら改善に乗り出し、例えばプロセスの自動化を行うといった対応策を実行することができる。
他社のBIは、戦略的、分析的の点では優れているとしても、業務の領域では我々に一日の長があるように思える。戦略的BIは、企業のパフォーマンスを監視し、戦略を組織内に伝達することが役目だ。そこで、異常事態を検知したら分析的BIで原因を特定する。次に、明確になった問題点を解決するために、業務改革に取り組むという流れになる。戦略、分析、業務というサイクルを回していくことで、BIは最も有効に利用することができる。この点も、他社との大きな違いなのではないかと感じている。
20%しか活用されない企業内データ
企業がデータを活用する上での問題点は
企業は、事業活動を進めるなかで発生する多くのデータを収集しているが、実際には入手したデータの20%しか活用できていない。