日本アバイアは1月25日、ノーテルネットワークス(ノーテル)のエンタープライズ事業買収完了に伴う、日本での今後の事業戦略および製品ロードマップなどについて説明した。AvayaによるNortelの同事業部門の買収は、2009年12月19日に完了している。
米Avayaのコンタクトセンターソリューション プロダクトマネジメント兼バイスプレジデントのJorge Blanco氏は、「今回の統合により、新生アバイアは、60億ドルの売上高と約2万1000人の社員を誇り、営業利益率が18〜22%で引き続き企業の健全性を維持している。双方の世界各国での拠点を活用してグローバル化のメリットを提供できるほか、技術面、製品でもお互いを補完できる。既に社員の統合も図っており、新生アバイアとして飛躍できる体制が整った。特に、日本、中国、インドなどで構成されるアジア太平洋地域では、2012年までに、全社売上高の15%を占めることを目指す」とした。
また、ノーテルのデータ製品を追加したことでの展開については、「グローバルではまだシェアが低い。今後事業を拡大していくが、他のデータ製品を排除するものではない」などとした。
さらに、「例えば、アバイアのACMと、ノーテルのCS1000のそれぞれのユーザーは、Avaya Auraで統合した形へとアップグレードすることが可能だ。既存の環境を壊したり、リプレースするのではなく、これらを生かしながら、スムーズな次世代への移行を図れる。顧客の資産は必ず守る」などとした。
同社では、新たなロードマップとして、アバイアのこれまでのポートフォリオにNESの機能を統合。ユニファイドコミュニケーション、コンタクトセンター、中小企業向けコミュニケーション、データ製品を主要分野として取り組むとした。
ユニファィドコミュニケーションでは、ポートフォリオの中心におくのは、SIPベースの「Avaya Aura」とし、これまでのノーテルの音声およびユニファイドコミュニケーションを使用していたユーザーのアップグレードにも最適であるとしたほか、「Avaya Agile Communications Enviroment(ACE)」を加えることで、SOAとウェブサービスを通じたコミュニケーションアプリケーションの実装を容易にできるとした。
Blanco氏は、「当社のビジョンは、SIPベースのオープンな標準アーキテクチャをベースとすることに変わりはない。このインフラを、次世代のアプリケーションプラットフォームとして実現して提供していく。そして、これらの製品とサービスは、ユーザーにとってサービスの運用一元化、コストメリットをもたらすものであり、通信と情報をひとつに融合することで、企業のコミュニケーションをより効率化できる」などとした。
コンタクトセンター向けでは、アバイアとNESのポートフォリオをシームレスに拡大し、中規模から大規模のコンタクトセンター向けに、オペレーターのPCの操作性、作業割り当て、管理および分析機能を提供する。
中小規模企業向けコミュニケーションでは、BCM、Nortar、PARTNER、Integral 5はいずれも販売を継続し、すべてアバイア製品に統合していくとした。また、ユニファイドコミュニケーションをデータセンターから管理したい中小規模企業向けに、旧ノーテルのSIPベースの製品である「Avaya Software Communication System(SCS)」の提供も行う。
さらにNESのデータ製品については、既存のロードマップを採用して、アバイアの新たなデータポートフォリオ製品に拡張性を提供することになる。アバイアのデータポートフォリオ製品では、イーサネットスイッチング、ルータ、ワイヤレスネットワーキング、アクセスコントロール、ユニファイドマネジメントのためのソリューションが含まれるという。
統合により日本のコンタクトセンター市場では過半数シェア
一方、日本においては、コンタクトセンター市場で、シェアが5割を突破する。これまでのアバイアのシェアである49%に、ノーテルの6%が加わり、合計で55%のシェアに達するという。
「アバイアといえばコンタクトセンターというイメージがある。業界初となった仮想化技術を採用したIPテレフォニーソリューションの提供や、国内で開発されたコンタクトセンターアプリケーションの堅調な伸びを背景にした展開に加え、昨今では150席以下の中規模コンタクトセンターでの顧客の割合が増加しているといった成果もあがっている。今後は、新たな領域にも踏み出していきたい」(日本アバイア、ソリューションマーケティング部長の平野淳氏)
新たにエンタープライズテレフォニー&ユニファイドコミュニケーション製品におけるシェア5%増を目指すほか、今夏に投入を予定する新たな中規模コンタクトセンター向け製品の投入によって、中規模コンタクトセンターアプリケーションビジネスの売り上げ比率を現状の2割から、4割へと拡大する考えだ。また、新チャネルプログラムの実施や販売チャネルの拡大などを通じて、「今後数年間、継続的に売上高で前年比10%以上の増加を目指す」(平野氏)とした。
ノーテルのビジネスでは、約80%がリセラー経由のビジネスであることから、これを生かしたチャネルの広がりにも期待しているという。なお、日本における社員数については、統合によって約1割増加したという。