ITへの追加投資もやぶさかではない
今回の発表内容には含まれていないが、第7世代システムに関しては、今後1年程度を目処に集配トラックへのITシステム導入を進めていく計画という。荷台に搭載されている荷物を届けるべき地点が地図上に自動プロットされていくナビゲーション機能や、安全運転技術の向上にも役立つ運行管理機能などを盛り込んでいく予定だ。
現在、クロネコメンバーズの会員数は約450万人だが、木川氏はこの数字には「まったく満足していない」と話し、システム投資の成果を得るには少なくとも1000万人程度の会員を集めることが必要との考えを示した。現状では、手書きの送り状をデジタルデータ化する仕組みがないため、個人発の荷物の多くは今回の受取指定サービスの対象外だ。1人でも多くの宅急便ユーザーにクロネコメンバーズ会員となってもらい、ネコピットや送り状作成サービスを使った「フルデジタル」の荷物の比率を増やしていかなければ、きめ細かな「個配」サービスは実現しない。
これまで会員数が思うように伸びなかったのは、会員サービスのメニューが少なく、顧客が入会のメリットをあまり感じられなかったからだ。木川氏も「いままで(のメンバーズのサービス)は、私から見ても不満だった」と、施策不足だったことを認める。今後は、新システムが実現するさまざまな会員サービスを追加し、宅配便市場におけるクロネコメンバーズの優位性を高めていく方針だ。投入していく新サービスは、受取指定サービスのように直接宅急便に関係したものだけでなく、宅急便のネットワークを活かせるものであればあらゆるサービスを視野に入れる。
第6世代システム導入時の120億円に比べ2.5倍となる300億円のシステム投資は、特にこの不況下においては「膨大な額」(木川氏)だが、「IT投資を躊躇していては我々のやりたいサービスは実現できない」(同)との考えで、木川氏は必要であれば追加の投資もやぶさかではないという姿勢を示していた。