クルートレイン宣言から10年--リアルタイムの「対話」が企業を変える - (page 3)

富永恭子(ロビンソン)

2010-02-12 12:51

ソーシャルメディアによって重要度が増す企業の「透明性」

 さらに斉藤氏は、「注目すべきは、今回の調査の中で、これまで以上に企業の『透明性』が重視されることを予測する人たちが多くいたということだ」という。それは、「情報開示」などという形式張ったのものではなく、互いの顔が見え、信頼でき、人間関係を醸成できるなど、人と人とのコミュニケーションによって生まれるエモーショナルな側面での透明性を意味しているという。

 ソーシャルメディアの企業での活用については、それぞれ観点が違うが、体系で整理すると3つの活用に分かれるという。

斉藤徹氏 ループス・コミュニケーションズ、代表取締役の斉藤徹氏

 「ひとつには顧客に対してプロモーションとして活用するという方向がある。これには、FaceBookおよびTwitterが多く用いられている。もうひとつは、対顧客とのコミュニケーションツールとしての活用だ。これはTwitterが得意とする。そして3つめは、社員コミュニケーションとしての社内での活用で、これもTwitterが中心となる。そして私は、このうちの対顧客コミュニケーションと社員コミュニケーションは、本来あまり分けるべきものではないと考えている」(斉藤氏)

 「対顧客コミュニケーション」の成功事例は多くあるが、「社員コミュニケーション」を単体で存在させた場合の成功事例は極めて少ないことがその理由だという。つまり、閉じられた企業内コミュニケーションのためにTwitterやSNSをいれたところで活性化はしないというわけだ。コミュニティと社員、経営者を乖離なく、ひとつにつないではじめて活性化するとしている。

 斉藤氏は、「企業内SNSは、顧客のニーズや問い合わせなど、目的やドライバとなるものがなければ、本当の意味で活用することはできない。それは、顧客や社員をステークホルダーとする会社の本質やオープンであるべきメディアの本質に立ち返って考えれば納得のいくことだ」という。

 そして斉藤氏は、「Twitterをはじめとするオープンでリアルタイムなソーシャルメディアの特長を生かし、活用することで、企業とユーザーの壁は限りなく透明に近い状態になる」という。また、その透明度は、企業内のワークスタイルが変化することを意味する。ケーブルテレビのコムキャストやデルなど、ソーシャルメディアを取り入れ、そこからボトムアップする形で、企業の体質改善や改革を実現した企業も現れてきているという。

ソーシャルメディアは企業の構造改革を促進するか

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    2023年OTサイバーセキュリティの現状レポート--75%の組織が過去1年間に1回以上の侵入を経験

  2. セキュリティ

    サイバーセキュリティ強化に向けてマイクロソフトが示す実践的な指針を紹介

  3. セキュリティ

    5分でわかる「AWS WAF」--基礎知識から運用で陥りやすい3つの落とし穴までを徹底解説

  4. セキュリティ

    最前線で活躍するトップランナーと本気で考える、これからのサイバーセキュリティ

  5. 経営

    ガートナーが指南、迅速な意思決定を促す「AI」活用を実践する3つの主要ステップ

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]