ソーシャルメディアによって重要度が増す企業の「透明性」
さらに斉藤氏は、「注目すべきは、今回の調査の中で、これまで以上に企業の『透明性』が重視されることを予測する人たちが多くいたということだ」という。それは、「情報開示」などという形式張ったのものではなく、互いの顔が見え、信頼でき、人間関係を醸成できるなど、人と人とのコミュニケーションによって生まれるエモーショナルな側面での透明性を意味しているという。
ソーシャルメディアの企業での活用については、それぞれ観点が違うが、体系で整理すると3つの活用に分かれるという。
「ひとつには顧客に対してプロモーションとして活用するという方向がある。これには、FaceBookおよびTwitterが多く用いられている。もうひとつは、対顧客とのコミュニケーションツールとしての活用だ。これはTwitterが得意とする。そして3つめは、社員コミュニケーションとしての社内での活用で、これもTwitterが中心となる。そして私は、このうちの対顧客コミュニケーションと社員コミュニケーションは、本来あまり分けるべきものではないと考えている」(斉藤氏)
「対顧客コミュニケーション」の成功事例は多くあるが、「社員コミュニケーション」を単体で存在させた場合の成功事例は極めて少ないことがその理由だという。つまり、閉じられた企業内コミュニケーションのためにTwitterやSNSをいれたところで活性化はしないというわけだ。コミュニティと社員、経営者を乖離なく、ひとつにつないではじめて活性化するとしている。
斉藤氏は、「企業内SNSは、顧客のニーズや問い合わせなど、目的やドライバとなるものがなければ、本当の意味で活用することはできない。それは、顧客や社員をステークホルダーとする会社の本質やオープンであるべきメディアの本質に立ち返って考えれば納得のいくことだ」という。
そして斉藤氏は、「Twitterをはじめとするオープンでリアルタイムなソーシャルメディアの特長を生かし、活用することで、企業とユーザーの壁は限りなく透明に近い状態になる」という。また、その透明度は、企業内のワークスタイルが変化することを意味する。ケーブルテレビのコムキャストやデルなど、ソーシャルメディアを取り入れ、そこからボトムアップする形で、企業の体質改善や改革を実現した企業も現れてきているという。