RSAセキュリティが2月18日に公表した調査結果によれば、日本のオンラインユーザーはセキュリティを重視しつつ、新しいセキュリティ脅威に対する認識は薄かった。また、オンラインバンキングのようなサービスで、新しい強力な認証方式を導入した場合には若干の懸念を持ちつつも受け入れるという回答が多かったという。
調査は米国のRSAが1月22日に発表したセキュリティ意識調査「RSA Global Online Consumer Survey」において、北米、欧州、アジア、豪州、南米地域の22カ国における回答から、日本人の回答200人分を抽出して各国と比較したもの。全体の回答者は4539人だった。
結果では、日本人の86%がフィッシングメールについての認識があり、米国の82%、英国の80%、各国平均の76%と比べても高かった。被害を受けた割合は各国で3割前後なのに対し、わずか6%と低かった。これについて同社では、日本のフィッシングメールの完成度が低いためと指摘している。
トロイの木馬に対する認識を聞いた項目では、日本人は55%しか認識しておらず、米国73%、英国75%、各国平均80%と比べて低かった。Gumblarなどで話題になっているトロイの木馬は、個人情報の窃取が問題となっているが、トロイの木馬を脅威に感じる人も米国49%、英国51%、各国平均54%に比べて、日本人は38%と低かった。
個人情報の盗用などで不安を感じているサイトは、オンラインバンキングが87%と高く、官公庁サイト、SNSサイトと比べて唯一、各国の平均を上回った。ただ、個人情報の入力をためらうという回答は68%にとどまっていた。闇社会ではクレジットカード番号のみだと1ドルにしかならないところ、氏名、住所、生年月日、電話番号などの情報とセットになると20ドルに跳ね上がることから、クレジットカード番号だけでなく、さまざまな個人情報を守る必要があるという。
オンラインバンキングで新しい認証方式を導入した場合に受け入れるかどうかを聞いたところ、各国平均で「喜んで受け入れる」が71%だったのに対し、日本は40%となった。「受け入れる」は51%に達しており、同社では、「セキュリティ強化と利便性が相反することはよく知っており、セキュリティを重視しすぎたがゆえに利便性を損なうことに若干の懸念を持っている」と指摘している。