富士通研究所は2月23日、クラウドシステムの障害対処として、障害の発生を事前に予知し、原因の特定から解決といった一連の処理を自動で行う技術を開発したと発表した。
今回の技術は、障害時と正常時に出力される通信パケットなどのメッセージのパターンを比較することで、障害の発生を事前に予知するというもの。富士通研究所ではメッセージには特定のパターンがあるとしており、このパターンを早期に検出することで、障害が発生しているかどうかを検知できるという。
メッセージは、過去の障害報告やシステムの構築時、試験時に得られた情報を抽出し、障害時のメッセージパターンとして蓄積されていく。障害のパターンによって学習することも可能なため、検出予知の拡大と検出精度の向上を図れるという。
また、サーバなどの設定ミスにより、メッセージが出力されないといった場合にも対応。ネットワーク上の通信パケットを収集、分析し、パケットのロスや遅延時間といった振る舞いから障害を検出する。
富士通研究所によると、富士通が10月に商用サービスを開始する「オンデマンド仮想システムサービス」と、LCM監視サービスに、それぞれ今回の技術が適応される予定としている。
富士通研究所の常務取締役である近間輝美氏は、オンデマンド仮想システムサービスについて「ひと味違ったサービス提供のための基盤」と述べ、「(同サービスに)富士通研究所が貢献する」と障害対処技術による差別化に期待を寄せ、「開発中のクラウド技術とノウハウにより新たなビジネス領域を拡大していく」とコメントしている。