日本IBMは3月1日、14.4ペタバイト(PB)のデータをネットワーク上で一元的に自動管理し、共有できるNASアプライアンス「IBM Scale Out Network Attached Storage(SONAS)」の販売を開始したことを発表した。税別価格は7682万1000円、3月12日から出荷する。
IP網に接続して利用できるファイルサーバであるSONASは、ハードディスクドライブ(HDD)やネットワークインターフェース、OS、管理用ソフトウェアを統合した製品。大容量化とアクセス速度の向上で、データ増加に対して高い拡張性を備えているという。最大記録容量の14.4PBは地上波デジタルのハイビジョン放送約240年分に相当するという。
従来のIBM製ファイルサーバは、1システムあたりの最大容量が1.2PB、並列に接続して同時に保管処理ができる、つまりクラスタ構成が可能な台数が最大2台。SONASは最大容量が従来の約12倍の14.4PB、最大格納ファイル数は約20億個、クラスタ構成が可能な台数が最大30台となっている。
SONASは、スーパーコンピュータにも採用されているというIBM開発の分散ファイルシステム「General Paralle File System(GPFS)」を採用。大規模で分散したストレージシステムを一元管理するとともに、1つのファイルを並列なデータ経路を使って分散保存できることから、ファイルへのアクセス速度を向上させているとしている。
SONASの今後のバージョンでは、アクセス頻度やデータ生成時からの経過時間などから設定した保管ポリシーに応じて、階層管理する機能、1分間で1500万個のファイルについて前回保存したものとの差分情報を取得して差分だけを保管するバックアップ機能を搭載するという。
ネットの急速な普及とともにデジタルメディアは増加。シミュレーション技術の向上で医療診断や製品設計では、これまでの2次元画像ではなく、よりデータサイズの大きい3次元画像が多く使われるようになっている。爆発的に増加するデジタルメディアや医用画像、設計データなどのファイルをクラウド環境で管理、活用したい企業にSONASは最適と説明する。