ドイツ連邦共和国のハノーバーにて、世界でも最大級のIT展示会「CeBIT」が3月2日より開催される。この展示会に毎年ブースを構えているのが、地元ドイツのソフトウェア企業としてはSAPに次ぐ規模を誇るSoftware AGだ。Software AGは、CeBIT開催を前にした3月1日、各国からの報道陣を前に戦略説明会を開催した。
Software AGのCEO、Karl-Heinz Streibich氏はまず、2003年より進めていた同社の10カ年計画が順調に進んでいるとした。その10カ年計画では、第1段階として顧客の信頼を得ることや利益率の向上などの基礎部分に注力し、第2段階でM&Aやパートナー戦略なども含めたビジネスの成長を確立、第3段階で市場でのリーダーシップを発揮すべく、M&Aポートフォリオの拡大や顧客目線でのイノベーションなどを目指すとしていた。その中で、10億ユーロの売上を達成することも目指していた同社だが、Streibich氏は「この数字は2010年中に達成できそうだ」と自信を見せた。
この10カ年計画が順調に終盤を迎える今、Streibich氏はSoftware AGの今後10年が次のような目標の下で進んでいくとした。それは、ビジネスプロセスエクセレンス(卓越したビジネスプロセス)の分野で、テクノロジだけでなく市場シェアにおいてもリーダーとなること、自社製品を活用するなどして世界で最も効率的なソフトウェア企業となること、2年から4年に一度はwebMethodsやIDS Scheer級の大きな買収を行うことなどだ。
Software AGがビジネスプロセスエクセレンス市場においてリーダーシップを発揮するために買収したのがIDS Sheerだといえる。Software AGでは、買収した企業の製品は統合する方針のため、今回の説明会でも統合の方向性が示された。
例えば、IDS Sheerのビジネスプロセスマネジメント用ベンチマーク「ARIS Business Architect」は、現時点でwebMethodsに機能を組み込むべく統合が進んでいるが、2010年第2四半期に完全統合を目指し、第4四半期にはSoftware AGが持つSOAの連携管理ができる製品「CentraSite」との統合を予定している。
また、Software AGは2009年3月のCeBITにて、BPMやワークフローに関するソーシャルプラットフォーム「AlignSpace」を2010年第1四半期に提供するとしていたが、このAlignSpaceは、IDS Sheerが買収前より運営していた「ARIS Community」と組み合わせ、「ARISalign」として提供するという。ARISalignは、後日詳細が発表される予定だ。
Streibich氏は、「ビジネスプロセスエクセレンスはエンタープライズITの次のパラダイムシフトとなる。Software AGではこの市場が将来ERPより巨大な市場となると見込んでおり、今後10年の成長の糧となることだろう」と述べた。