IDC Japanは3月4日、国内通信事業者のマネージドサービスの市場動向を分析し、2009年の市場状況を検証し、2010〜2014年の市場規模と成長率を予測した市場規模予測推移を発表した。
2009年の国内通信事業者が提供する同市場の規模は8879億円、対前年比成長率10.2%の見込みだという。各サービスの市場規模は、インターネットデータセンター(iDC)サービスが3683億円、セキュリティサービスが3303億円、システム構築(SI)が941億円、ネットワーク運用保守が952億円となった。
2009〜2014年の年間平均成長率は11.0%、2014年の市場規模は1兆4961億円と予測。主要カテゴリではセキュリティサービスの伸びが最大、同期間の年間平均成長率は14.7%と見込まれており、今後はセキュリティサービスとiDCが市場を牽引するとみている。
2010年以降の同市場は、景気後退の影響によるコスト削減圧力やコモディティ化などで価格競争による市場規模拡大の鈍化が懸念されるという。一方で、「IT資産をオフバランス化したい」や「総所有コスト(TCO)を削減したい」というユーザーニーズは継続しており、初期コストや運用負荷の削減効果が高いサービスを中心に市場を牽引していくとしている。
特にセキュリティサービスでは、引き続き法令順守(コンプライアンス)対応を目的としたセキュリティシステムの脆弱性対策や情報漏洩対策に関連したソリューション、TCO削減効果の高いセキュリティシステム運用管理サービスの需要が市場の追い風になると考えられるという。
またiDCサービスでは、サーバやネットワーク機器のレンタルや運用監視サービスなどの付加サービスが「IT資産をオフバランス化したい」というユーザーニーズに訴求しつつあり、コロケーションやホスティングのベース契約を上回る成長率で拡大するとしている。
同社コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの川上晶子氏は、「業界再編や新興国など成長市場への拠点展開、データセンターへのICT資産集約の動きなど、アウトソーシングサービスを提供する事業者にとって好材料はあるものの、企業のIT投資におけるコスト削減圧力が緩和される兆しはない。国内通信事業者は、海外展開を拡大する企業をターゲットとして、グローバルに標準化されたマネージドサービスの展開を検討する必要がある。それとともに、クラウドサービスについては、既存サービスの単なる置き換えにとどまらず、差別化によって適用範囲の拡大に注力すべきである」とコメントしている。