富士通は3月9日、前代表取締役社長の野副州旦氏が2009年9月25日に辞任した際の理由について、東京証券取引所(東証)から口頭で厳重注意を受けた。
富士通は9日、東証に代表者異動の理由など事情を説明。これを受け東証は、「平成21年9月25日の適時開示は、代表者の異動理由について適切な説明が行われておらず、開示の適正性に欠けていたものと考えられますが、代表者異動自体に係る投資者の投資判断に大きな誤りをもたらすほどの重大な影響があるとまでは言い難いことから、改善報告書徴求等の措置をとるには至らない」(富士通の発表文より引用)と判断したという。
東京証券取引所は3月8日午前、ZDNet Japan編集部の取材に答え、富士通に対して事実確認のために調査することを示唆していたが、同日午後の取材で事実確認に入ったことが明らかになっていた。
東証は事実確認を求める直前での取材に対し、確認の結果、本来の辞任理由を隠ぺいするなどの意図があった場合、東証のルールにのっとりペナルティの一つである改善報告書の提出を求める可能性があるとしていた。東証では今回の件について、このような事態は前例がなく、今後どのような手続きになるかが不透明としており、事実確認の行方を見守る考えを示していた。
また、富士通は3月6日付けで「代表取締役の異動(社長交代)に関するお知らせ(訂正)」と題する文書を開示している。訂正内容は、以前は「本日 当社代表取締役社長 野副 州旦氏より、病気療養のため、平成21年9月25日をもって代表取締役社長および取締役を辞任する旨の申出があり、これを受理したことによるものであります」としていたが、6日付の訂正では「別紙(一部報道について)のとおり」としている。
「一部報道について」は、野副氏が社長辞任の取消を求めているなかで、富士通が3月6日午後に発表した文書。
社長辞任の取消を求めている野副氏は3月6日、代理人を通じて富士通に反論している。