コンピューティング業界のパイオニアChuck Thacker氏が米国時間3月9日、同業界最高の栄誉であるA.M.チューリング賞を受賞した。
近年はシリコンバレーにあるMicrosoftの研究所に勤務しているThacker氏は、Xeroxの著名なパロアルト研究所においてパーソナルコンピューティングの開発に携わった経験を持ち、パーソナルコンピュータ「Alto」とイーサーネットネットワーキングの共同開発者の1人である。
提供:Microsoft
Thacker氏は9日のインタビューで、チューリング賞は通常、ソフトウェアや理論に従事する人々に贈られるものであるため、その候補になったことだけでも驚いたと述べた。
「本当にびっくりした」とThacker氏は述べた。「技術のマシン側を主な研究対象にしている人が受賞したのは、1967年以来のことだ」(Thacker氏)
Microsoftでは、Thacker氏は同社のケンブリッジにある研究所の設立を支援し、タブレットPCの初期プロトタイプから、最も新しいものでは大学生が独自のシステムを設計するために使用することができる、750ドルのプログラマブルなコンピュータにいたるまで、さまざまなプロジェクトに従事してきた。学生は一般的に、新しいコンピューティングアーキテクチャについて論文を執筆したり、既存のアーキテクチャ上で動作する新しいOSを記述したりすることができる。「Beehive」として知られるThacker氏の最新プロジェクトでは、基本的に再プログラム可能なコンピュータを用いて、学生らがシステムを設計できるようにするものである。
「最近ではアーキテクチャについて講義する場合、こうした非常に複雑なことを知っていても、それらを構築する機会がまったくない」と同氏は述べた。
Thacker氏は、スタンフォード大学のある教授によるネットワーキングに関する推論プロジェクトが、この分野の講義において標準となっていると述べた。同氏は、Beehiveもそれと同様の成功を収めるかもしれないと期待している。Microsoftは2010年1月、Thacker氏のプロジェクトを用いて、マサチューセッツ工科大学(MIT)における講義を支援した。
タブレットPCについては、プレゼンテーションのスライドに書き込みをしたい大学教授やタイピングを嫌う医者など、タブレットを好む人々が存在するとThacker氏は述べた。しかし同氏は、手書き認識技術がまだ、特に現在の学校教育において、美しい文字を書くことがそれほど重要視されていないことを踏まえ、万人向けに十分役に立つほどには前進していないことを認めた。
「われわれが1990年代終わりに初期プロトタイプを開発して以来、タブレットの成功はある程度に限定されていたと思う」と同氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ