障がい者向け授業にワンセグ活用--ニンテンドーDSの上下画面に手話と字幕

富永恭子(ロビンソン) 2010年03月10日 22時05分

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 国立大学法人筑波技術大学と三友、日立システムアンドサービス(日立システム)は3月10日、筑波技術大学の聴覚障がい学生向け授業にエリア限定のワンセグ配信(エリアワンセグ)を活用した字幕情報配信実験を1月25日から2011年2月3日まで共同で実施すると発表した。2010年4月から開始する2010年度の授業では、年間を通じてエリアワンセグを活用した授業を計画している。

 筑波技術大学は、聴覚および視覚障がい者のために創立された国立大学法人。世界の聴覚および視覚障がい者の高等教育をリードする大学として、支援手法や機器の研究開発を行なっている。これまでも聴覚障がい分野では、学内外での遠隔手話通訳、PC要約筆記の実験と実践を重ねてきた。今回の実験では、実験の計画と実施、システム運用を筑波技術大学が担当する。

 三友は放送通信分野で運用実績を持つ。今回、その最先端運用の一つとして三友の強みを提供することで、実験計画に協力する。日立システムは、システム構築とテクニカルサポートを担当する。

 日立システムらによれば、聴覚に障がいのある学生が高等教育を受ける際に直面する最も困難なことは、情報授受の障がいだという。この問題を解決するため、授業内容がよく伝わるための「情報保障」の環境を工夫改善する必要がある。情報保障とは、情報伝達が困難な者に、情報が伝わることを保障することで、授業内容を手話通訳や筆談など文字通訳情報として伝えることだという。

実際の授業の様子(画像提供:日立システムアンドサービス) 実際の授業の様子(画像提供:日立システムアンドサービス)

 一方、2007年頃より、ワンセグを使った新しい情報配信サービスとして、エリアワンセグの実験が全国各地で複数実施されており、新しい地域コミュニティメディアとして注目されている。2009年12月には総務省内に「新たな電波の活用ビジョンに関する検討チーム」が設立され、テレビ放送のために割り当てられているが時間的、地理的、技術的な理由から利用されていない周波数帯域「ホワイトスペース」の活用方法が検討されるなか、エリアワンセグが活用手段の一つとして検討され、実用化が期待されているという。

 今回の実験にあたっては、総務省関東総合通信局より実験試験局免許の交付を受け、聴覚障がい学生が学ぶ筑波技術大学産業技術学部内に無線局環境を構築。エリアワンセグを活用した手話および字幕情報配信の、新しい情報保障ツールとして実用性を、三機関が共同して検証する。

 実験では情報保障の手段として、ワンセグの映像と字幕部分を利用して学生の手元に授業の内容を配信する。また、遠隔地の情報保障者(手話通訳者や文字通訳者)がいる場所に授業等の映像と音声を送信し、そこで情報保障内容(手話や文字通訳情報)を付加して現地に戻す、既存の「遠隔情報保障システム」のデータを2次利用。ワンセグの映像部分に手話通訳映像や講義映像、字幕部分に文字通訳情報を配信するとしている。受信端末は「ニンテンドーDS」や「DSテレビ」、携帯電話などを使用する。画面上部に手話通訳等の映像を表示し、画面下部に文字通訳情報を字幕として表示するという。また、同時に授業を受ける全ての学生が、良好かつ途切れのない情報を受信できるかといった、エリアワンセグの電波フィールドについても検証するとしている。

受信端末の一つ「ニンテンドーDS」(画像提供:日立システムアンドサービス) 受信端末の一つ「ニンテンドーDS」(画像提供:日立システムアンドサービス)

 同実験では、受講者が手元で、かつエリア内であれば自由な場所で情報取得が可能となり、講義内容の理解が促進されるといった成果を見込む。講師は手話などの心得が無くても、自身の慣れた方法で安心して情報伝達が可能になり、システム運用側は受信装置の設定や教室内の配線など、システム運用にかかる手間を大幅に削減できるとしている。筑波技術大学と三友、日立システムは、この実験を通してエリアワンセグの課題を確認し、それらを解決することで、新しい情報伝達媒体としての可能性を社会に提案したいという。

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