デスクトップ仮想化で「隠れたコスト」を削減、外部サービスの展開も--NTTコムウェア - (page 2)

宍戸周夫(テラメディア)

2010-03-24 08:00

 「今回は間接部門から導入しましたが、通常のオフィス業務については、シンクライアントはまったく問題ないと考えています。しかし専門的な業務、たとえば扱うデータが膨大な業務や、画面転送が多い業務などシンクライアントに適さないものもあります。そのため、なかなか全社展開が難しい面もありますが、当初からそれを見越してシステムを構築しています」

 そこで同社はシンクライアント化に当たり、サーバベースドコンピューティング(SBC)と仮想PCの2つの方式を用意。業務によって最適に使い分けができる仕組みを考えた。

太田氏 NTTコムウェア サービス事業本部 サービスプロバイダ部 担当課長 太田竜児氏

 SBCは、Citrix SystemsのXenAppサーバ群を核としたものだ。XenAppは従来のリモートアクセス機能に加え、情報セキュリティ分野でも強力なミドルウェアとして実績がある。同時に、アプリケーションをサーバで一括管理できることで、TCO削減も可能になる。基幹システムなどの業務アプリケーションはサーバ側で稼働、一方オフィスアプリケーションやメールなどのコミュニケーションツールはクライアント側でという形になる。1台のサーバに何人ものシンクライアントを同時ログインする形になるが、PCの使い勝手も残している。

 しかしそれでは不満というユーザーもいる。ひとつのOSの中に複数のユーザーが入ってくるため、「重い」データを扱うユーザーがいると、同じサーバにログインした他のユーザー側でも反応が遅くなる可能性があるからだ。多くのCPUパワーを消費するような、通常のオフィス業務ではない業務をシンクライアントでカバーするには懸念がある。

 「だれか1人がそのような重い業務を行うと、ほかの何十人もの人の作業に影響が出るため、われわれはXenApp以外に同じくCitrixのXenDesktopによる仮想PC方式も用意しました。これは別途仮想の個別環境を作り、1人に対してひとつのOSの専用環境を提供するものです。たとえば、Excelの表を何枚もつきあわせてマクロを走らせる経理業務だとか、データベースの大量データを扱う人向けの環境です。これによって、専門的な業務を行う人は通常のクライアントPCとそん色ない形で業務ができるようになっています」

 SBCと仮想PCの2方式によって、さまざまなユーザーがシンクライアント環境を快適に利用できるようになったのだ。

ユーザーに違和感のない端末を

 NTTコムウェアでは今回のシステム導入にあたり、ミドルウェアにはCitrix、端末にはWyse Technologyのシンクライアントを選定した。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ChatGPTに関連する詐欺が大幅に増加、パロアルトの調査結果に見るマルウェアの現状

  2. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  3. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  4. セキュリティ

    いま製造業がランサムウェアに狙われている!その被害の実態と実施すべき対策について知る

  5. セキュリティ

    ランサムウェア攻撃に狙われる医療機関、今すぐ実践すべきセキュリティ対策とは?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]