日本IBMは3月26日、株価や売り上げ、計測機器からのデータなど、リアルタイムで変化する複数の情報を並行して瞬時かつ複合的に分析することにより、最新の状況に即した意思決定を支援するソフトウェア新製品「IBM InfoSphere Streams V1.2.0」の提供を開始した。
同社によれば、データマイニングをはじめとするビジネスインテリジェンス(BI)などの意思決定支援ツールは、蓄積された過去のデータを加工、分析するものだったが、今後、企業がより競争力を高めるには、時間経過に伴い刻々と変化する膨大な量のデータをリアルタイムかつ複合的に分析し、様々な状況への対処を瞬時に判断することを支援する「ストリームコンピューティング」が求められるという。
今回発表されたInfoSphere Streamsは、このストリームコンピューティングを実現するIBM初のミドルウェアであるという。約100人のIBM研究員が7年間に渡り、200を超えるIBMの特許を基に開発に取り組んできたとする。
InfoSphere Streamsを使用すると、例えば、山火事が発生する地域で、煙のパターンや天候予測データ、衛星写真などのデータを瞬時に分析し、警察や消防機関が市民の避難通告などに関してより的確な判断を行うことを支援できるという。また、遠隔地の患者の心拍数、血圧、不整脈などのあらゆるデータを分析し、患者の状態に応じて、適切な処置を指示することが可能になるとしている。
InfoSphere Streamsは、ストリームアプリケーションを開発するためのEclipse 3.4ベースの統合開発環境である「InfoSphere Streams Studio」と、高いスケーラビリティを持ったランタイム環境「InfoSphere Streams Runtime」に加え、各種ツールキットおよびアダプタから構成される。同製品では、最大125ノードまでハードウェアを拡張でき、また変動するあらゆるデータのイベントを同時処理し、1秒間に160万件の情報を処理できた例もあるとしている。
InfoSphere Streamsの使用料金は、900万6000円より(税別、100PVU単位の場合)。日本IBMおよびIBMビジネスパートナー経由で販売される。あわせて、同製品を活用したシステムの構築を支援するサービスも提供するとしている。