新マーク「We're all in.」からマイクロソフトのクラウド戦略を読み解く

大河原克行 2010年03月29日 09時30分

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 マイクロソフトが、同社のクラウドビジネスに使用する新たなロゴマークを作成したことをご存じだろうか。青い雲のイラストとともに「We're all in.」という文字がデザインされたものだ。

We're all in. マイクロソフトが、同社のクラウドビジネスに使用しはじめたロゴマーク(提供:マイクロソフト)

 このマークは、2010年3月4日に米MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏が、ワシントン大学において同社のクラウドコンピューティングへの取り組みについて講演を行った際に公開されたものだ。日本でも、3月24日に行われたクラウドビジネスの戦略説明会で、このマークが初披露された。

 米Microsoft、インターナショナルプレジデントのJean-Philippe Courtois氏は、「マイクロソフトは、クラウドに対して、100%コミットしていることを提示した。クラウドがマイクロソフトを活性化させ、マイクロソフトがクラウドを活性化させる」と語る。また、日本法人社長の樋口泰行氏も、「マイクロソフトは最優先の戦略的分野として、全事業部門でクラウド関連業務に取り組むことになる」と語る。実は、新たに用意したクラウドのロゴマークも、Courtois氏、樋口氏の言葉を表現したものになっている。

 ロゴマークをよく見ると、「all in.」という言葉がかかっているのは青い雲の部分。つまり「クラウドにall in.」という意味を込めているのだ。

 「all in.」という言葉の意味を考えるにあたっては、この言葉が有名なカードゲームのひとつである「ポーカー」でも使用されていることを思い出すと分かりやすい。ポーカーでの「all in.」とは、自分が持つすべてのチップを、一気に賭けるという意味だ。つまり、マイクロソフトがクラウドという領域に、「手持ちのリソースのすべてを賭ける」という意味にも取ることができるのだ。そう考えると、このロゴマークからは、マイクロソフトがクラウドにコミットするという強い意思を感じることができる。

 一方で、クラウドの絵が、「We're all in.」という言葉の後ろ半分だけにかかっているという点からも意味が読み取れる。

 もちろん、マイクロソフトではすべての製品をクラウド化するつもりはない。今後も継続的に、オンプレミス型の製品を開発し続け、ソフトウェアライセンスビジネス、ソフトウェアパッケージビジネスは継続する。

 マイクロソフトでは、「4万人の社員のうち、70%がクラウド関連のビジネスに参加し、年間の90%の時間をクラウドあるいはクラウドに関連したプロジェクトに従事することになる」とするが、同社の製品戦略の前提は、クラウドによるサービスとオンプレミス製品との両立である。それは「S+S(ソフトウェア+サービス)」という言葉で示される。

 「マイクロソフトは、アプリケーションとデータを、クラウド環境とオンプレミス環境を問わず、シームレスに連携、移行させることができる環境を、唯一実現できるベンダーである。同一の技術、設計のソフトとサービスを提供し、あらゆるデバイスからクラウドを利用できる。ユーザーはクラウドを使っているのか、オンプレミスを使っているのか、その区別がつかないまま利用できるのが、マイクロソフトの“S+S”の戦略になる」(樋口氏)とする。

 実際、オンプレミスの「Windows Server」に対する、クラウドの「Windows Azure」という組み合わせがあり、同様に「SQL Server」には「SQL Azure」、「Excange Server」には「Exchange Online」、「SharePoint Server」には「SharePoint Online」という、それぞれ対になるサービスがある。6月にも発売が見込まれる「Office 2010」にも「Office Web Apps」というクラウドサービスが用意される。

 その戦略を頭に入れて、もう一度ロゴマークを見てみよう。

 クラウドに「all in.」しつつも、文章の半分はクラウドの外、つまりオンプレミスに存在し、全体でマイクロソフトのS+S戦略を表している……。そのように見えてはこないだろうか?

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