ある案件にひも付いて発生する継続的なコミュニケーションを管理する時には、情報がツリー状に構造化されるウェブインターフェースのツールを利用することで仕事の効率を劇的に向上させることができる。この連載の第3回で紹介したように、最近、こうした企業間のコラボレーション向けに提供されているのは「メッセージング機能」と「共有ストレージ機能」を持ったツールである。
メッセージング機能と共有ストレージ機能をベースとしたコラボレーションツールにはフィードパスの提供する「feedpath Rooms」、サイドフィードの提供する「Fresh Meeting」などがある。
なお、現時点ではプレビュー版ではあるが、グーグルの提供する「Google Wave」も、メールに変わるコミュニケーション手段として、リアルタイムに近いメッセージングとファイル共有の機能を提供する。Google Waveは正式リリースとともにGoogle Appsに加わるだろうと予想されており、これまでメールで行って来た継続的な企業間コミュニケーションは、今後ウェブベースのツールに移行していくことが予測されている。
feedpath Roomsは3月1日にサービスが開始されたクラウドサービスであり、メールに代わる企業間コラボレーションツールとして位置づけられている。メッセージングは時系列で表示され、議論の展開が一目で分かる。共有ファイルはフォルダ分けされ、それぞれにアクセス権限を設定できる。保存されたファイルの履歴管理も可能だ。企業利用を前提としているためセキュリティにも配慮しており、すべての通信は暗号化されている。手前ミソなようだが、メールでの継続的コミュニケーションにストレスを感じている方は、ぜひ一度試してみてほしい。
さて、これまで7回にわたって、企業でのITツールを使ったコミュニケーションについて考えてきた。新たな技術に基づく新しいツールが続々と登場しているが、その特性を理解し、ニーズに応じて柔軟に使い分けることで、日々のビジネスがスムーズに進み、生産性が向上することを理解していただけたなら幸いである。
筆者紹介
後藤康成(ごとう やすなり)
フィードパスCTO。2005年、クラウドからビジネスアプリケーションを提供するフィードパスを設立。「Zimbra」の日本市場展開、ビジネススケジューラの「feedpath Calendar」事業統括を担当するとともに、メールに代わる次世代企業間コラボレーションツールとして開発中の「feedpath Rooms」のエバンジェリストでもある。著書として「Web2.0 BOOK」など。Twitterアカウントは「feedpath」。
feedpath Roomsについて
フィードパスがクラウドアプリケーションとして提供する、企業間コラボレーションツール。メールに変わるコミュニケーションプラットフォームとして、メッセージ機能と共有ストレージ機能を提供する。