米Gartnerは3月29日(米国時間)、2009年の世界半導体市場の売り上げは前年比10.5%減の2284億ドルになったと発表した。半導体産業では、初めて2年連続の売上減少を記録したことになるという。しかし、2009年後半からの電子機器生産が回復したことで予想されていたよりも少ない減少幅にとどまったとしている。
Gartnerの半導体マーケットシェア調査は、世界270の半導体企業を対象として64の半導体製品カテゴリと8つの主要なアプリケーションカテゴリ別に集計されているという。
半導体ベンダーのランキングで、1位は18年連続でIntel。売上高は減少したものの、マーケットシェアは14.6%と2008年の13.6%より高くなったという。不況下でもPC市場、特にモバイルPCが好調に推移したことが主な原因だとしている。
2位はSamsung Electronicsで、2009年に売り上げを伸ばした企業の1つになる。この一因は、DRAMとNAND型フラッシュメモリの急激な価格低下を調整するためベンダー各社が供給を調整した結果、2009年のDRAM、NAND型フラッシュの価格がともに高止まりしたことにあるとしている。またSamsung Electronicsの高い技術力と強い財政状態も、不況の中での売上増を支えたという。7位のHynix Semiconductorも、半導体市場全体が減少する中、DRAM価格の高止まりとシェア拡大で売上高を伸ばしたとしている。
3位は2008年と同様に東芝となった。東芝は、景気の悪化で民生機器向けや自動車向け半導体の需要が冷え込んだものの、NAND型フラッシュメモリの価格上昇で市場全体よりも少ない落ち込みとなったという。一方、ルネサステクノロジは、2008年の7位から8位に順位を下げた。同社の売上比率の大きい携帯電話市場や自動車市場が2009年に落ち込んだことが原因だとしている。
Infineon Technologiesの売上高は、前年比43.1%減の大幅なマイナス成長となり、2008年の6位から10位へと大きく後退した。同社のメモリ部門であったQimondaの経営破綻と有線通信機器向けビジネスの売却が原因だという。2008年の売り上げからQimonda分の売り上げと有線通信機器向けの売り上げを差し引いて比較基準を同じにした場合、同社の2009年の成長率は16.1%のマイナス成長となるとしている。
ガートナーの主席アナリストPeter Middleton氏は、「2008年第4四半期と2009年第1四半期に前例のない下落を経験した後、全体的に見て2009年第2四半期から第4四半期までの対前期比の伸びは非常に強いものだった。その結果、2009年全般の結果は、金融危機からの余波を恐れた当初ほどの悪い状態には至らなかった」と分析している。