パシフィックビジネスコンサルティング(PBC)は4月15日、マイクロソフトの中堅中小規模企業(SMB)向けERPパッケージ「Microsoft Dynamics NAV 2009 SP1 RT(ロールテイラード)版 中国バージョン」を6月下旬より販売すると発表した。
Dynamics NAVは、マイクロソフトが2002年に買収した「Navision」をベースとした製品。PBCでは、買収前よりNavisionとパートナー契約を締結し、同製品の日本語化および日本向け機能の開発、導入、コンサルティングを行っていた。現在では、マイクロソフトとパートナー契約を再締結しており、引き続き日本でのローカライズと導入コンサルティングを提供している。
同社では、3月にDynamics NAVの最新版をベースとした「Microsoft Dynamics NAV 2009 SP1 ロールテイラード版日本語バージョン」を発表しているが、本日発表された「中国バージョン」は、同様にPBCが日本および中国の商習慣に対応した各種機能を追加し、中国語化したもの。データベースだけでなく、NAVシステム内の開発環境、エラー情報等も中国語化しているという。PBCでは、同製品を中国に現地法人を持つ日本企業に対し、子会社管理を支援するソリューションとして提供していく。
中国基準の各種法廷帳票を実装するほか、中国特有の会計制度に対応できるよう、追加機能を搭載した。特に、中国政府より利用が義務づけられている金税システム(中国の間接税のひとつである増値税の請求書を発行するためのシステム)とのインターフェースを設けている点が特徴だ。通常は、売上情報を手作業で入力して発行するケースが多かったが、同製品では、入力された受注データを集めて、テキストファイルで出力する機能を持つため、ユーザーは生成されたファイルを金税システムにインポートする運用が可能となる。これにより、発票の効率を大幅に向上できるという。
そのほか、日本本社が子会社の管理を行う上で必要な機能も搭載されている。日本本社基準、中国基準の双方の勘定科目票を保持できる機能や、両国の基準に対応した財務諸表出力機能などを備える。
PBC取締役社長の小林敏樹氏は、「日本を含めた先進国の近年の経済成長率は頭打ちの状態にあり、日本企業が成長路線を維持するためには、経済新興国、特にマーケットの大きな中国市場へ進出していく必要がある」と指摘した。一方で、日本企業が中国へ進出するにあたっては、現地のシステム化をどうするか、どこの導入ベンダーを活用するか、運用サポートはどうするかといった、情報システム面での課題に直面するという。
小林氏は、「PBCはこれまで多くの海外展開、グローバルプロジェクトを手がけてきた経験があり、日系企業の海外進出に対する適切なコンサルティングが提供可能であるほか、中国をはじめとするアジア圏出身のバイリンガルリソースを多く要しており、日本、中国、双方での開発が可能だ。また、PBCより中国現地に人員を派遣し、Dynamics NAVを熟知したサポート担当者が中国語、英語、日本語で対応を行う。現地のサポート担当者で対応ができない場合には、問題をエスカレーションし、日本の本社とPBCで緊密に連携しながら解決にあたる体制を整えられる」とした。
PBCでは、今回の中国バージョンに続き、今後2年の間に、マイクロソフトによるDynamics NAVのローカライズ非対応国である、韓国、台湾、香港といった国に向けたソリューションを順次提供していく意向という。
Microsoft Dynamics NAV 2009 SP1 RT版の価格は、基本ライセンスが25万円。ユーザーライセンスが247万5000円(同時接続11ユーザーの場合)。言語ライセンスが14万4000円。中国バージョンでは、これに加えて、PBCが提供する中国版のパッケージ(画面の中国語化と中国商慣習への対応機能を含む、200万円)が必要となる。