アイ・ティ・アール(ITR)は4月15日、IRM市場の調査結果を市場調査レポート「ITR Market View:コンテンツ管理市場2010」にまとめた。
レポートによれば、国内のInformation Rights Management(IRM)市場は、2009年度の出荷金額が11億円、前年比35.8%増と大幅な伸びを示した。規模自体はまだ小さいものの、情報漏洩対策や知財管理としてのIRMへのニーズは徐々に高まっており、2010年度も2ケタ増を見込んでいるという。IRMは、業務アプリケーションで作成される各種データファイルに対して個別にアクセスポリシーを定義し、特定の権限をもつユーザーに閲覧や変更、印刷などの利用を制限することを目的にした製品と定義している。
2009年度のベンダーシェアを見ると、アルプス システム インテグレーションが「DocumentSecurity」の機能の豊富さから急速に導入実績を拡大し、トップを維持している。2位の日立ソフトウェアエンジニアリングの「活文」シリーズは、大手製造業中心に着実にユーザーを拡大。3位のアドビシステムズは、多くの導入実績を誇るIRM市場の老舗とされ、PDFや動画などのリッチコンテンツの管理に強く、他社との差別化要因となっているという。
ITRのシニア・アナリストである舘野真人氏は、「IRM製品が注目されている背景には、より高度な情報漏洩対策が求められていることがある。製造業では、設計データなどの知的財産を海外の取引先と安全にやり取りする必要に迫られているという事情が加わっている。重要データが社外に配布されることを前提に、利用を制限できるIRM製品は、今後のコンテンツ管理市場全体を牽引するポテンシャルを秘めているといえる」とコメントしている。
レポートは、IRMのほかに企業コンテンツ管理(Enterprise Content Management:ECM)、文書管理、ウェブコンテンツ管理(Web Content Management:WCM)、全文検索ソフトウェアの5つの製品分野を対象に国内42社のソフトウェアベンダーの製品を調査。2008〜2009年度の市場規模実績と2010〜2014年度の予測、2008〜2010年度のベンダー別、提供形態別、業種別、OS別のマーケットシェア予測を調査、分析している。