マイクロソフトは4月26日、デスクトップ仮想化の戦略説明会を開催した。同社では、新たな製品群を用意するとともに、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)ライセンスの簡素化や、シトリックス・システムズ・ジャパンとの協業を発表した。
マイクロソフト コマーシャルWindows本部 本部長の中川哲氏は、「マイクロソフトのデスクトップ仮想化戦略には3つの柱がある。それは、すべてを網羅する製品ラインアップ、高い親和性と統合管理、そしてコスト競争力だ」とした。
製品ラインアップとしては、リモートアクセスにてクライアントからOSやアプリケーションを利用する形態と、ローカルにてクライアントに仮想化テクノロジを組み込んで利用するという形態において、「必要な製品をすべて用意している」と中川氏。例えば、リモートアクセスにおけるアプリケーション配信のプラットフォーム「Windows Server 2008 R2 Remote Desktop Services」(旧ターミナルサービス)や、仮想OS配信プラットフォーム「Microsoft Virtual Desktop Infrastructure」(Microsoft VDI)、ローカルにて仮想アプリケーションを展開する「Microsoft Application Virtualization」(App-V)、同じくローカルにて仮想OSを展開する「Microsoft Enterprise Desktop Virtualization」(MED-V)などだ。
マイクロソフトでは、「Microsoft Desktop Optimization Pack for Software Assurance」(MDOP)の最新版として「MDOP 2010 Refresh」を4月2日にリリースしている。MDOP 2010 Refreshには、MED-VとApp-Vの最新版が含まれている。MED-Vの最新版となる1.0 SP1は日本語環境がサポートされた最初のバージョンで、ホストOSとしてWindows 7もサポートされている。また、App-Vの最新版4.6では、VDI環境向けにディスク容量を節約する機能が追加されたほか、64ビットクライアントOSや、インターネット経由での仮想アプリケーションの配布もサポートする。
コスト競争力の強化に向けては、VDIライセンスを7月1日より改定する。具体的には、Windows Software Assurance(Windows SA)契約を締結しているユーザーに対しては、サーバ上で集中管理された仮想化デスクトップの使用権およびリモートアクセスの権利がWindows SAの提供する権利の中に含まれるようになる。つまり、VDI環境でWindows OSを利用する場合でも、別個にライセンスを購入する必要がなくなることになる。これに伴い、Windows SAを保有しているユーザー向けに提供されていた「Virtual Enterprise Centralized Desktop for Software Assurance」(VECD for SA)は6月30日で提供を終了する。また、従来Windows SAを保有しないユーザーに提供されていたVECDの提供もあわせて終了となり、「Windows Virtual Desktop Access」(Windows VDA)へと変更になる。
中川氏によると、この価格改定により「6月30日まではWindows SAとVECD for SAをあわせて年間1台につき9348円必要となっていたが、7月1日以降はWindows SAのみで利用できるため、実質約30%オフとなる。また、VECDの場合は年間1台につき1万4400円必要となっていたが、7月1日以降は約10%オフの価格で利用できるようになる」(価格はすべて参考価格)とのことだ。7月1日以降の正式な価格は、後日発表される。
コスト競争力強化のための更なる施策としてマイクロソフトでは、シトリックスと共同で「VMware VDI ユーザー向け無償プログラム」と「VDI クイックスタート」を行う。VMware VDI ユーザー向け無償プログラムでは、「VMware View」を利用しているユーザーのプラットフォーム移行を支援するため、「Microsoft VDI Standard Suite」と「Citrix XenDesktop VDI Edition」を、1社あたり最大500本まで無償で提供する。また、VDI クイックスタートでは、新規でVDIを採用する企業に対し、Microsoft VDI Standard Suiteを最大70%オフで、Citrix XenDesktop VDI Editionを最大50%オフの価格で提供する。このキャンペーンは12月末まで実施する予定だ。
シトリックス・システムズ・ジャパン マーケティング本部 担当部長の竹内裕治氏は、「Microsoft VDIとCitrix XenDesktopを組み合わせたソリューションでは、Windowsプラットフォームに完全に統合されたインフラが構築でき、Windows 7の展開にも最適化されている。また、ライセンス体系がシンプルになるほか、リッチなユーザー体験ができる。アプリケーションの利用も万全だ」と述べ、この組み合わせが理想のVDIソリューションだとした。