日立製作所は5月27日、クラウド事業の戦略説明会を開催した。6月にはクラウド事業統括本部を新設。グループ会社の専門家も集約し、クラウド関連の2012年に2000億円、2015年に5000億円を売り上げる考えを示した。2010年3月期の売上高が1兆7055億円であることを考えると、クラウド事業で3分の1を稼ごうという意気込みだ。
また、一般的な“文房具型クラウド”と一線を画したサービスに重きを置き、同社のクラウドソリューション「Harmonious Cloud」では、特にミッションクリティカルシステムと同等の信頼性を提供したい考えだ。
社会基盤としてのハーモニアスクラウドを目指す
日立製作所 執行役常務 情報・通信システム社 プラットフォーム部門CEOの佐久間嘉一郎氏は、「社会イノベーションのための重要な基盤としてクラウドを捉えている」と述べ、そこで求められる要素として「安全・安心」「スピード・柔軟」「協創」の3つを挙げた。
一般的にクラウドサービスといえば、信頼性の要求度が相対的に低く、コア業務ではない領域で提供されるSaaSなどが代表例としてよく挙げられるが、日立が目指す方向は全く異なる。同社はHarmonious Cloudで「ミッションクリティカルにも適用できる情報システムを目指す」(佐久間氏)としており、特にその領域ではセキュリティと高信頼性が欠かせない。「安全・安心」をうたうのは、そのような理由からだ。
佐久間氏が「社会基盤となるHarmonious Cloudを推進していく」と述べるとおり、プライベートクラウドでは、ミッションクリティカルおよび社会インフラで利用できるサービスの提供を目指す。