IDC Japanは6月29日、国内IT市場における主要ベンダーの2009年上半期(1〜6月)の製品別売上と戦略の分析について発表した。IDCでは、2008年下半期(7〜12月)から悪化した世界経済危機の影響を受けて、その業績に大きな変化が見られると説明している。
IDCは同調査において、日本IBM、NEC、富士通、日立製作所、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)、東芝(含む東芝ソリューション)、デル、日本オラクル、サン・マイクロシステムズ、マイクロソフト、日本ユニシス、SAPジャパンの主要ITベンダー12社について、IT製品出荷金額を16種類の製品分野に分類し、2006年上半期から2009年上半期の国内出荷金額実績値を半期ごとにまとめている。
調査結果では、主要ITベンダー12社の2009年上半期の平均成長率は前年同期(2008年上半期)と比べて2桁の大幅なマイナス成長となった。2009年上半期の出荷額上位5社は、富士通、NEC、日立製作所、日本IBM、日本HP。しかし、出荷額上位5社の2009年上半期成長率は、前年同期と比べて、富士通はマイナス8.6%、NECはマイナス14.2%、日立製作所はマイナス7.9%、日本IBMはマイナス9.6%、日本HPはマイナス11.0%と、いずれもマイナス成長となっている。
世界経済危機の影響で国内IT市場は低成長となる一方で、クラウドやそれを支える高速ネット、仮想化、統合運用管理などの技術が発展し、ITシステムに関する「所有から利用へ」「個別から共有へ」のシフトが加速している。ユーザー企業のクラウドへの関心は高まっているが、クラウドの利用は始まったばかりで、提供されている製品やサービスもカバー範囲が狭く、またその成熟度も低い位置にあるとIDCでは説明している。またセキュリティなど十分に解決されていない課題もあると指摘した。
IDC Japan ITスペンディング ITサービス ソフトウェア&セキュリティ コミュニケーションズ グループディレクターの和田英穂氏は「クラウドが今後の本命となるためには、ITベンダーはユーザー企業の様々なICTニーズをすべてカバーできるサービス群を用意する必要があり、またユーザー企業の不安を取り除く活動として標準を整備することが必須」と分析している。