第2条:ベンダーと顧客はシステムのサービスレベルを共有する
ベンダーには顧客に約束したサービスレベルの目標があり、ベンダーはその目標を達成するために全力を尽くさなければならない。これらの明示的なサービスレベルの達成に必要な労力や費用はすべて、ベンダーが惜しみなく払うものであり、顧客に追加料金を課すことがあってはならない。法的拘束力のある具体的な契約やビジネス上の合意によってこれらの要件は明確に規定されるが、ここで重要なのは、サービスレベル契約が締結されるのは、顧客とベンダー双方のビジネス上の利益を明示的に保護するためであり、ベンダーが下すすべての決定は両当事者を平等に考慮しなければならないということだ。
顧客との間に明示的なサービスレベル契約が存在しない場合、ベンダーはマーケティング資料などに記載のサービスレベル目標を達成するよう努力しなければならない。いかなる場合においても、ベンダーが基本料金で高いレベルのサービスを提供すると宣言した後で、そのレベルのサービスは割増料金を支払わないと利用できないと告知することは許されない。
しかし、顧客がサービスの評価や購入を行うすべての段階で、ベンダーがあらゆる情報を明確に説明する限り、より高度なレベルのサービスをより高額な料金で明示的に販売することは全く差し支えない。
ただし、究極的には、顧客は社内と社外の顧客に対し、自らのサービスレベルを厳守する義務を負っている。そして、顧客はビジネス相手である各ベンダーが失敗を犯す可能性を考慮に入れることが自らの責任であることを理解しなければならない。
自らのサービスレベルの遵守を単一のベンダーに依存している顧客は、自身のサービスレベルの遵守義務をベンダーの同様の義務と結びつけることに暗に合意したことになり、そのベンダー自身のインフラストラクチャの信頼性に運命を委ねることになる。サービスレベルに関する約束を真剣に受け止めている顧客なら、そのベンダーに依存しない監視システム、障害回復システム、ディザスタリカバリシステムの構築や購入を模索するだろう。
ベンダーが特定のサービスレベルを達成するために特定のアーキテクチャや手順を推奨した場合、それに従うのは顧客の責任となる。従わない場合、サービス障害の責任を負うのはベンダーではなく顧客である。
顧客とベンダーのシステム統合が必要な場合、ベンダーは、顧客がサービスレベル契約を達成するために必要なすべてのアーキテクチャレベルで、その統合の実現可能性を監視するオプションを提供しなければならない。そうした監視のための標準が存在する場合は、ベンダーはタイムリーかつ完全な方法で、その標準を実装しなければならない。ベンダーはこの監視機能の重要性を過小評価すべきでない。これは顧客自身のビジネスの約束につながるものである。
この監視を成立させるためには、最低でも、セキュリティ侵害、サービス障害、サービス品質の低下、価格変更といったイベントをタイムリーかつ詳細に伝達することが必要になる。
ベンダーはいかなる状況下でも、政治的発言や不適切な言葉、性などのタブーに関連する発言やコンテンツ、宗教的なコメント、ベンダーのサービスを批判する発言などを理由に、顧客のアカウントを停止してはならない。ただし、特定の法律(差別発言など)が適用される場合は、この限りではない。
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