スイートの各製品とControl Towerは、業種やニーズなど、ユーザーの要請に応じたカスタマイズを行って利用するが、その際迅速にシステムを構築するための手段として、Progressでは「Solution Accelerators」を用意している。
これは、いわば業種ごとに用意されたテンプレートであり、「80〜90%までの機能はテンプレートで準備でき、残りの数十%のみをユーザー側で開発すればよい。迅速に本番環境でアプリケーションを立ち上げられる」(Bates氏)という。
Solution Acceleratorsは、既に金融向けのものが10、通信業界向けに2つが用意されており、今後、旅行業界向け、物流向けのものを構築していく予定という。
Bates氏によれば、金融業界、通信業界では、特にトラフィックの可視化や、その変化に対応して迅速にプロセスやルールを変えていくニーズが高く、実際の事例も多く存在するという。
「金融業界では、市場の動きを迅速に可視化することで、株価の変化やパターンを検知し、それに対して迅速に対応して、アルゴリズムを変えていくことが求められる。それによって、株の売買を行うチャンスを図り、プロフィットを確保していく。また、インサイダー取引や不正な取引の検知にも、リアルタイムでの情報把握が求められている。また、通信業界のある事例では、レベニューの取り損じがないかどうかの判断のために、トランザクションデータの可視化を行った。300以上あったKPIについて追跡調査を行ったところ、プリペイド型携帯電話のビリングシステムが、現実の要求に追いついていないことが分かった。コールに対して後で料金の引き落としをしようとしても、その時点では与信がない状態で、料金を取り損ねるケースが発生していた。このキャリアでは、課金システムのプロセスとルールを変更し、コールに対してリアルタイムに与信チェックを行って、その結果でコールを通すかどうかを決めるようにした。ここでは、システムを利用してビジネスプロセスを可視化し、改善することで、単なるコスト削減からレベニューを生み出すアプリケーションに変えることができたのだ」(Bates氏)
Progressでは、年内にもRPMスイートのバージョンアップを予定しているという。プロセスやルールのモデリング機能がさらに強化され、ビジネスユーザーが技術部門の手を借りずにプロセスを改善していける環境を用意するほか、各機能もしくは全体のクラウド化にも対応する予定だ。Bates氏は「全体の機能をクラウド上におくことも、既存のシステムはオンプレミスで、Control Towerの機能のみをクラウドから利用することも可能にしたい」とする。
「企業のトランザクションの流れとプロセスを可視化し、状況に応じて継続的に改善していく中から、ビジネスにとってのリスクやチャンスが見つけ出せる。企業はビジネスプロセスによって、飛び続ける飛行機のようなもので、その動きを止めるわけにはいかない。既存のシステムを止めずに、どのようにそれを改善し続けるかという課題に対するひとつの回答がProgress RPMだ」(Bates氏)