IDC Japanは9月15日、国内マネージドプリントサービス(MPS)市場の2009年の売上実績と、2014年までの予測を発表した。これによると、2009年の国内MPSの売上は211億7500万円で、前年比40.5%の増加となった。IDCでは国内MPS市場の2009年から2014年までの年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を10.7%、2014年の市場規模を352億4400万円と予測している。
MPSは、プリンタや複合機が導入される際に、ベンダーが顧客のプリンティング環境のアセスメントに基づいて最適配置を実施、導入後の運用管理をアウトソーシングで受託することで、継続的にプリンティング環境を最適化し、コスト削減と生産性を向上させるサービスのこと。国内HCP(Hardcopy Peripheral)市場の縮小に伴い、HCPベンダーは従来の製品の機能や価格を訴求する販売手法だけでは成長が望めなくなってきているが、MPSは長期間にわたってサービスを提供するため、ベンダーは安定した収益が期待できる。
2009年はレーザープリンタやレーザーMFP(複合機)の出荷台数が前年割れとなった一方で、MPSの売上は前年比40.5%増となっている。この背景についてIDC Japanでは、景気の悪化によるコスト削減の動きに加え、HCPベンダーによる積極的な販売活動と、顧客内での認知度が向上したことなどを挙げている。
2010年のMPS市場についてIDC Japanでは、前年比成長率19.0%、市場規模252億800万円と予測。2010年に入って景況感に幾分かの改善は見られるものの、大手顧客のコスト削減の動きは止まっておらず、MPSのようなコスト削減を実現するサービスがより注目されるとIDCでは見ている。
一方、MPSを本格的に普及させるためには、大企業に加えて中小企業への販売や、MPSのみならず顧客のドキュメントに関わるソリューション全体を提供するような販売活動、さらなるMPSのメリットの訴求が必要だとしている。