米Cisco Systemsは10月26日、職場環境に関するグローバル調査の結果を発表した。この調査によると、世界で働く人の5人に3人が、オフィスにいなくても生産的に業務を行えると答えている。また、実際に会社の情報にアクセスする際のモビリティと柔軟性を望む声は非常に高く、同じく3人に2人が、社外での情報アクセスが制限される高給の仕事よりも、給与は安くてもいいから柔軟にアクセスできる職を選ぶと回答しているという。
これらをはじめとする数々の調査結果から、Ciscoでは、情報アクセスの方法およびビジネスコミュニケーションの変化に影響を与えている世界の労働力の期待、要求、行動の実情が見えてくるとしている。
今回の調査は、Ciscoからの委託により、米国を拠点とする第三者マーケットリサーチ会社であるInsightExpressが、米国、メキシコ、ブラジル、英国、フランス、スペイン、ドイツ、イタリア、ロシア、インド、中国、日本、オーストラリアの13カ国で働く2600人(ITプロフェッショナルを含む)を対象に実施した。
Ciscoではこの調査について、仮想化データセンターやクラウドコンピューティング、従来型の有線および無線ネットワークが増加する中で、モビリティやセキュリティリスクへの対応能力、ユビキタスにアプリケーションや情報にアクセスできる技術など、企業が従業員やビジネスニーズに対応しようとする際に直面する課題について明らかにするために行ったとしている。
調査結果のひとつとして、Ciscoは「モビリティと仕事の柔軟性を望む声の高まり」を指摘している。調査により、従業員の60%が生産的かつ効果的であるためにはオフィスにいる必要はないと考えていることが明らかになった。この傾向は特にアジアと南米に見られ、インドで93%、中国で81%、ブラジルで76%だったという。
また、66%が私物、会社の支給物を問わずさまざまなデバイスを使用して会社のネットワークやアプリケーション、情報にアクセスできるようになることを期待しているという。この結果からCiscoでは、デバイスの種類はさらに多様化し続けるだろうと予測。今後の選択肢として、テレビやカーナビ画面など、「従来とは異なるワークデバイス」が、ネットワーク接続のエンドポイントになると予想している。
会社のネットワーク、アプリケーション、情報に社外からアクセスできる従業員の場合、45%が毎日2〜3時間、4分の1が4時間以上の時間外労働を行っていると回答した。しかし、長時間の時間外労働が、オンデマンドで常時対応できることにはならないため、彼らは仕事と生活のバランスを取りながら、起きている時間を柔軟に使えればいいと考えているという。
また、「どこでも柔軟に仕事ができることを望む」声も多く、Ciscoはこのことから従業員の会社への忠誠心(13%)、仕事の選択(12%)、やる気(9%)を読みとることができるとしている。たとえば、全世界の従業員の66%が、デバイスの利用やソーシャルメディアへのアクセス、モビリティに制限のある高給の仕事よりも、給与は安くてもいいからこれらの柔軟性が確保された職の方を選ぶと回答している。ここ数年の厳しい経済状況にもかかわらず、スペインで78%などいくつかの国では、この割合がさらに高くなっているとCiscoは説明している。