NECは11月8日、医薬品メーカーが医薬品卸の販売、納入実績を把握するためのデータ変換処理である「実消化システム」のクラウドサービス化を行い、販売活動を開始したと発表した。サービス提供開始時期は、2011年1月を予定している。
「実消化」とは、医薬品メーカーにおける卸経由の製品販売実績のこと。卸から医療機関、調剤薬局に納入された実績を意味する実消化データは、販売実績管理、分析、戦略策定等のマーケティング業務や人事業績評価等、医薬品メーカーにおける重要な指標の基礎データとなる。従来、医薬品メーカーでは、医薬品卸より業界VAN経由で入手した販売実績データを、自社で活用できる形に変換処理する仕組みを、各社ごとに構築、運用していた。しかし、競争激化に伴う昨今の厳しい事業環境の中、システム投資の抑制が求められ、製薬業界の中で共通項目の多い実消化システムの構築、運用コストについても削減が望まれていたとする。
今回、提供が開始される実消化システムのクラウドサービスは、こうした業界の要望に応えて製品化されたものという。これまで医薬品業界に多くの導入実績がある同社の「実消化テンプレート」をベースに、業界全体に適応性の高い機能を盛り込んでおり、標準機能内から必要な機能を選択できるため、サービス開始までの期間を大幅に短縮できるとしている。また、トランザクション量に応じた課金体系によって、最適なコストで利用できるほか、業界VANのフォーマット変更など業界特有のシステム変更にも対応するとしている。
処理エンジンにはNECのソフトウェア「InfoFrame DataBooster」を採用し、高品質かつ高速な実消化データ変換サービスを提供するという。運用基盤としては、NECの共通IT基盤サービス「RIACUBE」を採用している。
NECでは新サービスについて、今後3年間で20社の医薬品メーカーへ販売することを目標とする。