アプリケーション仮想化技術と言えば、シトリックスの「XenApp」やヴイエムウェアの「ThinApp」、マイクロソフトの「App-V」が有名だ。そこにシマンテックもなんとかして食い込みたいようだ。
シマンテックは11月12日、同社の仮想化製品「Symantec Endpoint Virtualization Suite」に関する説明会を開催。同社が提供する仮想化技術が現実的な回答を提供するものであることを強調している。
シマンテックが仮想化製品を提供するのは意外に思われるかもしれない。シマンテックの企業としての命題は「人と情報を守る」(プロダクトマーケティング部プロダクトマーケティングマネージャの??相=べい・きさんぐ=氏)ことにある。「企業が、アプリケーションやシステムにとらわれずに情報を中心としたシステムを構築する」(?氏)ことを目指しているという。
そうしたシマンテックが目指すのは、エンドユーザーを中心にして、サーバやネットワーク、クライアントPCなどの複雑なIT基盤からエンドユーザーを解放して、必要な情報を必要なときにどこからでも自由に利用できる環境と説明する。そこでは、エンドユーザーのワークスペースをクライアントPC、アプリケーション、プロファイル、データの4つのコンポーネントに分離して、エンドユーザーの必要に応じて最適なコンポーネントを提供するというものだ。
その具体的な製品としてEndpoint Virtualization Suiteを提供している。このスイート製品は、アプリケーションのストリーミング配信機能の「Symantec Workspace Streaming」、アプリケーションの仮想化実行機能の「Symantec Workspace Virtualization」、コネクションブローカの「Symantec Workspace Corporate/Remote」(日本ではリリースされていない)で構成される。
Workspace Streamingはオンデマンドにアプリケーションを配布すると同時に動的なライセンス管理機能を提供する。実行ファイルを100%ストリーミングする。
一方のWorkspace Virtualizationは、アプリケーションとデータの仮想化を行う。フィルタドライバを利用してアプリケーションとOSを分離し、内部ファイルの書き換えなど、ほかのアプリケーションの影響を回避しつつ、システムの安定性と信頼性を向上させることができるという。
一般的にアプリケーションはOSとの依存関係が強く、各アプリケーションはレジストリデータベースやDLLの更新を行い、OSに“突き刺さる”形でインストールされる。あるアプリケーションをインストールすると、DLLが古いものに置き換えられてしまい、ほかのアプリケーションが動かなくなったり、セキュリティホールが発生してしまったりなどの事態が起きてしまうことが度々ある。異なるバージョンのアプリケーションは1つのWindowsでは同時に使えないという課題もある。
Workspace Virtualizationは、アプリケーションとOSの間にフィルタドライバをはさんで、仮想的にアプリケーションをインストールする。こうすることで、OSやほかのアプリケーションに影響を与えずに、エンドユーザーは仮想レイヤ上での動作を意識せずにアプリケーションを実行できる。
?氏は、今後クライアントPCが仮想デスクトップに移行する上での重要な課題が存在すると説明する。?氏の説明によれば、クライアントPCの総コストの「80%が管理コストであり、そのうちの80%以上がアプリケーション管理工数を占めている」という。つまりアプリケーション管理が総コストの64%を占めることになる。
?氏は「最大の問題であるアプリケーション管理工数を未解決のまま、仮想化しても意味がない」と強調している。アプリケーションの競合やセキュリティホールの発生という問題があるからだ。シマンテックが提供するWorkspace StreamingやWorkspace Virtualizationでアプリケーションの仮想化をすれば、そうした課題を解決できるというわけである。
シマンテックが提供する、これらの解決策は、現在大きな課題とされる「Internet Explorer」に対する解決策になれると?氏は強調する。
現在、企業ではクライアントPCのOSとして「Windows 7」への移行が進んでいるが、その大きな障害となっているのが、「Internet Explorer 6」(IE6)でしか正しく動作しないウェブアプリケーションに対するサポートだ。Windows 7ではIE6をネイティブでサポートしないからだ。