Accentureは、企業システムの動向やベンダーの動向、ITの研究開発の進展などを分析、今後5年以内にどのような技術が重要になるのかを定義する「Technology Vision」をまとめている。これは、Accenture自身が自社の技術戦略の策定に活用するほか、顧客企業の戦略策定の手助けになるものとしている。
今回発表された最新版の「Accenture Technology Vision 2011:Top technology trends」(英語版、PDF)について同社のチーフサイエンティストであるKishore Swaminathan氏に話を聞いた。今回のトップITトレンドは以下の8項目になる。
- データこそが重要なプラットフォームとして着目される
- “分析力”(Analytics)が今後のビジネス価値向上に大きな差別化要因をもたらす
- クラウドコンピューティングはインフラより上位層で、さらなる価値をもたらす
- これからのアーキテクチャは“サーバ中心”から“サービス中心”へ
- セキュリティは急速に進化する一方、“100%完全”から“脅威レベルに応じた”アプローチへ
- 機密情報保護のアプローチは、リスクに基づくアプローチへ
- ソーシャルメディアにおける情報は、企業におけるビジネスインテリジェンス(BI)の新たな情報源へ
- “ユーザー体験”こそ重要
データこそが重要なプラットフォームとして着目される
これまでの“データ”に対する考え方は、SAPやOracleのようにアプリケーションがプラットフォームであり、データはその横にあるものという認識だった。しかし現在は、視点がデータに移っている。データがプラットフォームとして捉えられるようになり、アプリケーションはプラットフォームにアクセスするためのものという認識に変わってきている。
「その背景にあるのは新しいタイプのデータの登場だ」とSwaminathan氏は言う。新しいデータとは、まずスマートデバイスやRFIDから得られる時系列のデータがあり、そしてマルチメディアデータも含まれている。これらのデータは既存のリレーショナルデータベース(RDBMS)では上手く管理できない状況になっている。
この状況に対応するため、Accentureではいくつかの技術開発プロジェクトを開始した。データの品質をどのように管理していくか、RDBMSだけでなく他のDBでどのようにDBアーキテクチャを作っていけばいいのかといったことに関して、研究を進めているという。
具体的には、“データプラットフォーム”という概念だ。最近は“Big Data(ビッグデータ)”というキーワードも話題になってきているが、POS(販売時点管理システム)やセンサから送られてくるデータや、SNSやブログなどに投稿される画像や動画などを格納したDBには、さまざまなシステムレベルでアクセスが発生する。
しかし、どこにどういったデータが格納されているのか、どうアクセスすればいいのかは、データアーキテクチャを知らないとわからない。そこで有効となるのがデータプラットフォームという概念だという。次世代システムは、DBの上に“抽象レイヤ”を置くことで、ユーザーはシステムを知らなくても目的のデータにアクセス可能になる。
“分析力”が今後のビジネス価値向上に大きな差別化要因をもたらす
データ分析は継続的に伸びている分野であり、特に“アナリティクス”はひとつの到達点を迎えたとSwaminathan氏はみる。アナリティクスは単なるレポートにとどまらず、さらに分析を加えることが重要と説明する。