企業でのモバイル端末利用が増加、しかしセキュリティの認識は進まず

吉澤亨史

2011-05-27 12:07

 McAfeeは5月26日、ITのコンシューマライゼーションとそれに伴うセキュリティへの影響を調査したグローバルレポート「モバイルコンピューティングとセキュリティ」を発表した。

 レポートによると、49%の企業がモバイル端末に大きく依存しており、「極度に依存している」と答えた企業は18%に上った。また、10社に7社の企業が1年前よりもモバイル端末への依存を高めているという。企業ネットワークにつながっているモバイル端末の63%はプライベート用にも利用されている。

 仕事と個人利用の両方に使用するモバイル端末としては、ノートPCが72%と最も多く、スマートフォンが48%、USB機器を含むリムーバブルメディアが46%、外付けハードディスクが33%、ネットブックが19%、タブレットが10%であった。仕事でよく使用されるスマートフォンの機能は、「メール(93%)」「連絡先の管理(77%)」「ウェブアクセス(75%)」「予定表(72%)」となっている。

 モバイル端末の紛失や盗難を経験したという企業の割合は10社に4社で、盗難や紛失したモバイル端末の半数に業務上重要なデータが保存されていた。こうした紛失事件のうち、3分の1は実際に金銭的な影響にまで及んでおり、紛失や盗難を経験した企業の3分の2では、その後モバイル端末のセキュリティ強化を実施している。ただし、10社に1社は事件後もセキュリティ対策を実施しておらず、その理由に予算を挙げた。

図

 モバイル端末には「パスワードやPINコード(51%)」「クレジットカード情報(42%)」「仕事関連の機密情報(34%)」といった重要な情報を保存しているが、そのデータを週1回以上の頻度でバックアップしているのは、ユーザーの半数にも満たなかった。95%の企業がモバイル端末に関するポリシーを整えている一方で、自社のポリシーを十分に理解している従業員は30%にとどまっている。

 レポートの著者であるRichard Power氏は「モバイル端末は個人向け端末ではなく、企業向け端末としても広く活用されている。モバイル端末には個人ユースの役割を果たすだけではなく、企業システムの役割も求められている」と現状を説明。その上で、「端末に保存されるデータは、個人データと企業データというデータ属性の違いに関係なく、同じセキュリティプラクティスで扱われている」と指摘している。

 レポートは、McAfeeの委託によりカーネギーメロン大学サイラボ(CyLab)が日本を含む14カ国1500人以上の企業IT担当者とその従業員を対象に行った調査結果に基づく。

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