日本通運(日通)が、プライベートクラウドを構築し、1年間のテストを経て本番運用を開始した。従来のサイロ型システムによる高コスト体質や、SIerへの高い依存体質からの脱却を目指す。EMCジャパンが6月9日に発表した。
日通は、オープン化によって進展した業務アプリケーションシステムごとの縦割り管理体制を抜本的に改めるため、2008年にIT基盤の変革を決定。「インフラ標準化プロジェクト」を開始し、プライベートクラウドの構築に乗り出すことになった。
2009年8月にEMCジャパンとNECが提案した「全体最適コンサルティング・サービス」を受けたことをきっかけに、アプリケーションごとに縦割りだったシステムを見直し、全てのアプリケーション環境の標準化を図るプロジェクトをスタートさせた。同サービスのテンプレートを活用することで、プロジェクトを遂行する上で既存の問題の洗い出しをスムースに遂行できたとしている。
プロジェクトのパートナーの選定にあたっては、EMCのコンサルティングチームが持つ豊富な経験に根ざしたコンサルティング手法が高く評価されたという。同チームは上流設計をリードするとともに、運用プロセスを円滑に進めるための実務を担当したとしている。
日通は従来、アプリケーションとインフラを一体で調達していたため、ITリソースの調達に2カ月ほどかけていた。今回の見直しで、インフラのみを調達できるようにしたため、期間を10日間にまで短縮することができたという。さらに、新たに災害対策サイトを構築し、ITインフラの構築と運用コストが、従来比30%削減できたとしている。
企業内クラウドのインフラは、EMCジャパンのハイエンドストレージ「Symmetrix DMX」、ユニファイドストレージ「CLARiX」「Celerra」、災害対策ソリューション「ReocverPoint」、バックアップストレージ「Data Domain」、自動階層化機能の「FAST」「FASTキャッシュ」などで構成されており、NECを通じて提供、約1年間のテスト運用を経て、2010年11月より本番環境としてスタートしたという。
日通では、2014年にはデータセンターで現在保持している業務アプリケーションサーバを、すべて企業内クラウド環境に移行する計画を立てており、今後は業務アプリケーション開発の標準化を進める考えだ。また、IT展開の迅速化により、将来的には、日通内で育て上げたプライベートクラウド環境をグループ全体で活用することを目指すという。