クラウド:運用面で得られなかったのはコスト削減効果--ZDNet Japan調査

冨田秀継 (編集部)

2011-06-21 20:55

 ZDNet Japanは、クラウド環境の運用管理の実態に関する調査を目的として、アンケートを実施した。全回答の中から、従業員数50人以上企業に所属する227人を抽出した結果を紹介する。調査期間は5月19日〜26日。

クラウドの導入状況について

クラウドの導入状況について※クリックで拡大画像を表示 クラウドの導入状況について※クリックで拡大画像を表示

 クラウドの導入状況を複数選択式でたずねたところ、最も多かった回答が「導入していない」(45.10%)で129票、以降「プライベートクラウドを導入している」(18.88%)の54票、「パブリッククラウドを導入している」(12.24%)の35票と続いた。

 また、「SaaSを導入している」は12.94%、「IaaSを導入している」は6.64%、「PaaSを導入している」は4.20%という結果になった。米国ではプラットフォームの覇権をめぐり、PaaS分野での競争が激しさを増しているが、国内での利用度は最も低い結果となっている。

クラウドの導入で期待すること

クラウドの導入で期待すること※クリックで拡大画像を表示 クラウドの導入で期待すること※クリックで拡大画像を表示

 クラウドの導入にあたって期待することを複数選択式でたずねた結果、「トータルコストの削減」(26.53%)が169票で最多となった。以降、「省エネ・省スペース化」(14.60%)の93票、「人員(運用担当者など)の削減」(11.15%)の71票と続いた。また、「事業継続・ディザスタリカバリ対策」(10.83%)も69票集めている。

 最も票が少なかったのは「モバイル化の推進」(6.91%)の44票だった。

クラウドの導入に対する課題や不安

クラウドの導入に対する課題や不安※クリックで拡大画像を表示 クラウドの導入に対する課題や不安※クリックで拡大画像を表示

 この設問では、クラウド導入にあたっての課題や不安を複数選択式でたずねた。その結果、最も票を集めたのが「情報漏えい・セキュリティへの対策」(19.17%)の157票だった。これに続いたのは、「サービス品質(機能性・可用性)の維持」(12.70%)の104票、「障害発生時の切り分け」(11.60%)の95票、「既存システムとの連携」(10.87%)の89票、「サポート体制」(10.38%)の85票。

 「本当にコスト削減につながるか不明」(9.40%)や「運用管理の複雑化」(7.08%)は、それほど課題や不安と受け止められていないことがわかる。

クラウドで得られた運用面の効果は

クラウドで得られた運用面の効果は※クリックで拡大画像を表示 クラウドで得られた運用面の効果は※クリックで拡大画像を表示

 この設問では、クラウドで得られた運用面の効果を複数選択式でたずねた。最も票を集めたのは「ハードウェアコストの削減」(19.44%)で49票となった。以降、「運用コストの削減」(14.68%)の37票、「省エネ・省スペース」(13.49%)の34票となった。

 「クラウドの導入で期待すること」で票を集めた「人員の削減」(5.95%)は15票に留まったほか、「事業継続・ディザスタリカバリ対策」(5.56%)も14票と低い得票となっている。

設問5. クラウド導入後、運用面で期待していたが得られなかった効果は

クラウド導入後、運用面で期待していたが得られなかった効果は※クリックで拡大画像を表示 クラウド導入後、運用面で期待していたが得られなかった効果は※クリックで拡大画像を表示

 この設問では、クラウドを導入している回答者を対象に、クラウド導入後に運用面で期待していたが、得られなかった効果をたずねた。その結果、「運用コストの削減」(15.88%)が27票でトップ、続いて「人員の削減 」(13.53%)「運用など業務効率の向上」(13.53%)の23票となった。

 運用管理に関わる部分で、期待していた効果を得られてないと感じている回答者が多い結果だ。

今後のクラウド化の予定

今後のクラウド化の予定※クリックで拡大画像を表示 今後のクラウド化の予定※クリックで拡大画像を表示

 今後のクラウド化の予定をたずねた結果、「クラウドサービスを導入する予定はない」(45.37%)が103票で最多、続いて「既存の業務システムの一部をクラウド化する予定」(40.09%)の91票、「新しい業務システムをクラウドで構築する予定」(12.33%)の28票、「既存の業務システムすべてをクラウド化する予定」(2.20%)の5票となった。

今後、クラウドに最も期待すること

今後、クラウドに最も期待すること※クリックで拡大画像を表示 今後、クラウドに最も期待すること※クリックで拡大画像を表示

 この設問では、今後クラウドに最も期待することをたずねた。その結果、「初期費用・ランニングコストの明確化」(44.49%)が約半数の101票を獲得してトップ。続いて、「運用の簡易化」(26.43%)の60票、「事業継続・ディザスタリカバリの実現」(18.50%)の42票、「初期導入の簡易化」(10.57%)の24票という結果になった。

Keep up with ZDNet Japan
ZDNet JapanはFacebookページTwitterRSSNewsletter(メールマガジン)でも情報を配信しています。現在閲覧中の記事は、画面下部の「Meebo Bar」を通じてソーシャルメディアで共有できます。東日本大震災の情報は、特設サイト「ZDNet Japan after 3.11」にまとめています。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  3. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  4. 開発

    「スピード感のある価値提供」と「高品質な製品」を両立させるテスト会社の使い方

  5. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]