ZDNet Japanが実施したクラウド環境の運用管理に関するアンケート調査をもとに、アイ・ティ・アール(ITR)シニア・アナリストの甲元宏明氏に話を聞く本特集「クラウドで運用管理コストは本当に削減できるのか」。
後編となる今回は、「攻めのクラウド」から話を始める。
クラウドの最大目的はコスト削減なのか
--「クラウド導入で得られた運用面の効果」については、「運用コスト削減」との回答が15%弱です。運用コストをうまく削減できているのは、どんなケースでしょうか
ある企業では、世界中に散在していたサーバやシステム資源を見直し、きちんとアセスメントした上でクラウド化を実行しました。統合化を進め、無駄な資源が出ないようにすることで、半分くらいに削減できたという例です。いずれにしても、全社規模、グローバル規模での取り組みでないと、実現は難しいですね。
--クラウドによる効果を上げるには、自社内のIT資源の現状を把握しなければなりません。それには、IT部門の業務の棚卸しが必要になりますね
そうなのです。自社のシステムが現実にはどうなっているのか、明確に答えられない企業のほうが圧倒的に多いのです。クラウドについては、IT業務だけでも棚卸しをすべきでしょう。ただ、BPMのようなテーマでは、ITだけでは不十分です。
--「システム開発コストの削減」に効果があったとの回答は6.35%でした。企業は特にこの点を求めていると思うのですが……
求めています。経営層はコスト削減とともにスピード向上も求めており、安く、早くが実現すれば、相当うれしいでしょう。その点、SaaSやPaaSがもっと伸びてくる可能性があります。