3.11以降、もはや節電は全国民の義務と課している感すらある。とくに企業は消費電力15%削減を達成するため、どこもクーラーの温度が高めに設定されているのが現状だ。
暑い外出先から、これまた暑いオフィスに戻るのは正直、心身ともに堪えるという人も少なくないだろう。これでは明らかに「生産性の向上」とは反対の方向に向かっているのではないだろうか。
最大のメリットは「すぐに始め、すぐにやめられる」こと
6月22日に開催された「ZDNet Japan 事業継続フォーラム ~再考を迫られるセキュリティと危機管理~」で、NTTコミュニケーションズ ビジネスネットワーク事業部 中山幹公氏が講演し、「この夏の喫緊の課題であるBCPと節電をいまからでも実現するなら、クラウドを活用した在宅勤務環境の構築」を推奨した。
その最大のメリットは、クラウドであるため時間をかけずに環境を構築でき、「すぐに始めて、すぐにやめられるサービス」であることだ。
もし、事業継続にかかわるようなアクシデントが起こった際も、自宅で業務を進められる環境が整っていればすみやかな復旧が可能になる。また、自宅で作業する従業員が増えれば、オフィスの消費電力を抑えることができ、同時に移動が減ることで従業員の生産性も向上する。何より、大掛かりな準備をしなくても、数ステップですぐに始められる節電対策は、空調と照明の調整による節電に限界を感じていた企業の担当者にとっては大きな魅力だろう。
もともと、3.11以前からBCPや節電への取り組みは大きな課題として取り上げられることが多かった。また、ワークスタイルの変化による在宅勤務の採用を検討する企業も徐々に増えていく状況にあった。3.11はあらためてそれらの重要性を浮き彫りにしたと言ってもいい。
「もともと必要であったこと、いずれ導入するもの――そうであるならば、いまこそ実現のときのはず」(中山氏)
社会全体で節電に貢献できるクラウドサービス
NTTコミュニケーションズは、クラウドソリューションを「BizCity」ブランドとして提供している。中でも在宅勤務環境の構築を支援するソリューションとして、仮想デスクトップサービスの「Bizデスクトップ Pro」を取り上げてみたい。
Bizデスクトップ Proでは、インターネットに接続された自宅のPCに専用のUSBキーを挿すだけで、オフィスのデスクトップ環境と同じ画面が起動する。これはオフィスのPCではなく、BizCityのデータセンターに接続しているので可能になっている。つまり、どこにいても、どのデバイスを使っても、オフィスで行うのと同じ業務を続けられるのだ。
たとえば、従業員が自宅で使用しているノートPCにMicrosoft Officeがインストールされていなくても、従業員はオフィスにいるのと同じようにExcelやWordのファイルを扱うことができる。クラウドならではの利点だろう。また、データセンターに接続するので、オフィスのPCの電源を立ち上げておく必要はまったくない。これだけでも節電効果が見込めるはずだ。
在宅勤務環境を構築する上で、避けて通れない課題がセキュリティだ。Bizデスクトップ Proは、二重に暗号化された回線(SSLとRDP)と、デスクトップにはいかなる情報も残さないという仕組みでこれに対応する。自宅PCで作業中、何かのファイルを保存しようとしても、その保存ファイルはデータセンター上に置かれ、自宅PCには何もデータは残らない。Bizデスクトップ Proを使っている限り、業務上のデータは外部のデバイスにいっさい何も残すことはできないのだ。PrintScreenも無効であるため、情報漏洩の危険性が大幅に低下するとみられる。
「クラウドサービスで節電とBCPを同時に実現する企業が増えれば、集約効果で社会全体で節電することに貢献できる」と中山氏。通信事業者が提供するクラウドサービスとして、とくにバックボーンに関しては高い信頼性があるBizCityブランドだが、その中でもいますぐ始められる節電&BCP対策として、仮想デスクトップサービスの効果に注目したい。
この講演のビデオ:いまからでも間に合う、節電とBCP対策に有効な仮想デスクトップ
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