ビジネスアナリティクスは企業全体で導入してこそ高い効果が得られる--SAS(前編) - (page 2)

聞き手・構成=田中好伸 (編集部) 文=吉澤亨史

2011-08-01 11:00

事業部単位から全社レベルへ

――企業のCIOはBAに対して何を求めているのでしょうか。

 従来BAの多くは個々の事業部門内で行われていました。相互に関連しない複数のプロジェクトが、それぞれにBAを導入していたのです。

 それが最近では、企業全体でBAを導入しようという取り組みが多くなっています。つまり、CxOレベルで取り組もうという傾向が強くなっているのです。その理由には、まずITガバナンスが挙げられます。企業が使うデータそのものがきちんとした質を保っているのか、また使うメソッド、手法が正しいものなのか、ITインフラは継続可能なものなのか、などといったことを個々の事業部に任せると、なかなか整わないことが多いのです。

 もうひとつは機会損失です。たとえば、10ある事業部のうち2事業部しかBAを導入していない場合、BAを使っていない8の事業部はビジネスチャンスを仮定することができず、機会を失うことも考えられます。

 これまでのように関連のなかった複数のプロジェクトから全社レベルでのプログラムに移行する上で必要なのは、ひとつはリーダーシップ、もうひとつはBAを使うことで一番のビジネスメリットをどこで享受しうるのか、意思決定(目的の明確化)の部分となります。

 金融業界においても、3~4社は全社レベルでのプログラムに取り組み始めています。でも、ほとんどの企業はどうすべきかわからない、迷いを感じている状況です。そこでSASでは、迷っているお客様に対して、リーダーシップをもって全社レベルでのプログラムを実行していく上で必要な組織体制、構造モデル、何をやっていくべきかを提案しています。

 さらに、実際にBAを導入することで部門単位のプロセスでどのくらいの金融的価値=リターンがあるかを実際に定量化していくといった手法を使っています。これまでの「やらないよりはいい」といった考え方ではなく、強力なビジネスケースを作っていくことが可能になってきているのです。

欧州でBAの認知度高まる

――BAの導入により効果を上げた欧州での実例はありますか。

 社名は公開できませんが、ある金融サービス企業はBAの導入によって年間9000万ポンドの投資効果を期待しています。金融系、特に銀行では、モデリングをどこでよりよく使えるのかを常に研究しており、他の業界より進んでいるといえるでしょう。

 また公共機関、税金を徴収するようなところでも導入事例がありますし、小売店でも導入されています。最近ではサプライチェーンにもフォーカスしており、特に販売の部分、消費者との良好な関係を築くためなどに幅広く採用されています。

――BAの欧州での浸透具合はいかがでしょうか。認知度は高いですか。

 この質問は、イエスでありノーでもあるといえます(笑)。

 事業部門ではBAを理解している人は多くいます。でも全社レベルでのBAの導入はまだ始まったところです。とはいえ、全社レベルでのBA導入については、CIOやパートナー組織、SIerなど、かなり関心が高まっている状況です。

ビッグデータにもBAは有効に働く

――この1年で“Big Data(ビッグデータ)”という言葉が広まっています。欧州での認識はいかがでしょうか。

 ビッグデータという言葉は、米国のコンサルティング会社であるMcKinsey & Companyで聞きました。McKinseyがビッグデータという表現を使うようになったことは非常に興味深いことでした。実は、SASもビッグデータの流れを見てきています。

 彼らの思想は、ビッグデータの分析結果をビジネス上の意思決定に活用するというものなので、SASの考えと近いものだと思います。たとえば、ある国ではヘルスケアの記録にビッグデータを活用しています。患者が病院へ行ったときに、医師が患者のすべてのデータを参照することでよりよい処置を行えるようにしています。ただ、分析しないのは変というか、もったいないですね。

 データは活用していても、そこにどのくらいコストがかかっているか、地域別に比較した場合にどのような違いがあるのか、患者が不正を働いていないか、リソースの管理を改善すべきときにはどうするべきなのか、このようなデータの分析は必ずしも行われていないように見受けられます。

 集積したデータは、BAでもっと有効に使うことができます。SASは、それを説得する伝道者としての役割をもっと出していかなければならないと考えています。ビッグデータを分析、活用することで、深い洞察力、深い理解が得られると考えています。

 SASも膨大なデータを扱って処理しているので、McKinseyを注目させるような取り組みは私たちにとってもありがたいと思っています。認知度を上げるような取り組みは大いに歓迎したいです。

(後編は8月2日に掲載する予定です)

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