洪水被害により、世界の6割ともいわれるタイのHDD生産は供給量が減少。この影響でBDレコーダーの生産数が減少すると見られている。BCNによると、BDレコーダーは年末商戦に入った時点で品不足となり、結果として販売台数の減少に影響すると予測している。
事実、メーカー側もHDDの調達不足を懸念する。
シャープでは「BDレコーダーでは11月出荷分から影響が出ている。12月にはさらにその影響が大きくなると見ており、代替品を確保できるかどうかが鍵になる」とする。
HDD不足は来年春までは長期化すると見ており、その影響はしばらく続きそうだ。
HDD不足は、薄型テレビにおけるHDD搭載モデルの増加によって、一部の売れ行きに影響するほか、製品の95%以上でHDDを搭載しているPCへの影響も懸念される。
BCNでは、HDDの品薄を背景にしたPCの供給不足が影響し、年末商戦におけるPCの販売台数は前年同期比10%減になると見ている。
PCメーカー各社からも「11月分はなんとかなるだろうが、12月以降は完全に品不足になる」「PCの生産数量は予定量に達しない可能性がある」といった声のほか、「HDDの調達価格が上昇していることから、来年1月以降に発売する新製品は価格上昇の懸念がある」などの声があがっている。
だが、その一方である外資系PCメーカーからはこんな声も聞かれる。
「ようやく調達したHDDであれば、最も粗利率が高い市場で販売したいというのが本社の考え方。日本は付加価値モデルの人気が高く、PCの平均単価も高い。単価が低い新興国に出荷するよりも、単価の高い日本市場向けにPCを優先して供給したいと考えている」
この理論でいえば、世界中でHDD不足が懸念されるなか、日本市場は比較的安定してPCが供給される可能性があるというわけだ。
いまのタイの状況を考えれば、タイでの生産開始にはかなりの時間がかかりそうだ。その間、代替製品を調達できるかどうかが業界全体の注目点であると同時に、サプライチェーンの課題をいち早く解決したメーカーがシェアを拡大できるのは明らかだ。
また、ここで紹介したグローバル展開するPCメーカーのように、マーケティング上の判断から特定地域への供給量を増加させることで、その市場における優位性を発揮するという例もあるだろう。
いずれにしろ、メーカーシェアには大きな影響を及ぼす事象となることは間違いないはずだ。