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ユーザーの成果から間接的に優位性を訴える--ダッソーに見るテクノロジの成熟

渡邉利和

2011-12-29 14:30

 やや旧聞になってしまったが、11月下旬にフランスのパリ郊外でダッソー・システムズのEU圏でのユーザーイベント「European Customer Forum」が開催された。まずは全参加者向けに「基調講演」という位置づけの講演があったわけだが、その内容はいわゆるIT企業によく見られるスタイルとは全く異なっており、「ITのコモディティ化」という言葉を思い起こさせるものだった。

自社製品を語らない

 ダッソー・システムズがイベント冒頭の講演として用意したのは「Biomimicry: Sustainable Design Inspired by Nature」(バイオミミクリー:自然から学ぶ持続可能なデザイン)という書籍の著者で、Biomimicry 3.8という企業のCEOでもあるJanine BENYUS氏だ。ちなみに、Biomimicryは、生物を意味する「bio」と、まね/模造品/擬態といった意味の「mimicry」を繋げた造語だ。また、同氏のBiomimicry 3.8の「3.8」はバージョン表記ではなく、38億年(3.8 Billion Years)という意味のようで、地球の生命の歴史、ということらしい。

 書名でほぼ言い尽くされているような感もあるが、同氏が語ったのは端的に言えば「自然界から学ぶことでよりよいデザインが可能になる」ということ。ただし、ここでいうデザインとは単なる外観の意匠ではなく、機能性も含んでいる。

 同氏は「サンゴから学べば海水とCO2からセメントを作り出せる(CO2量の削減が実現できる)」「熱帯地方の巨大なアリ塚の構造を学べば建物を電力消費なしで冷房できる」といった例を次々と紹介していった。「飛沫を上げずに水に飛び込むカワセミの嘴(くちばし)の形から騒音を軽減できる」という話では、日本の新幹線のデザインが例として取り上げられた。高速で走行する新幹線では、特にトンネルの出入り口で急速に空気を押しのけることで爆発音にも似た騒音が発生することが問題になっていたが、カワセミの嘴の形にヒントを得た細長い車体形状を採用することによって騒音軽減に成功した、という事例だ。

 CO2排出量削減やエネルギー消費量軽減など、現代社会の重要問題の多くは自然界に学ぶことで解決の糸口をつかめる、というのが同氏の主張であり、正直なところダッソー・システムズの製品や技術とは直接的な関連はないと言ってよいだろう。しかし、ユーザーとして集まったのがさまざまな企業でデザインや設計に携わっている人が中心だということで、こうした話題が選ばれたのだと思われる。

  • Biomimicryとは何か、という簡単な説明。自然のデザインと戦略に学ぶ、または模倣することで、自然界の形状やプロセス、エコシステムからさまざまなものを学べるという。

  • Biomimicryの具体例として紹介されたJR西日本の新幹線車両。写真は500系と呼ばれる車両だが、生物学的なデザインとしては後継の700系のカモノハシのようなデザインの方が有名だろう。

 続いて行なわれたCEOの講演では、当然ながらダッソー・システムズのビジョンや技術面での優位性などが語られたのだが、それでも新製品/新バージョンを詳細に説明するというものではなく、どちらかというとあっさり終えた印象だ。

 休憩を挟み、後半はユーザー企業の講演を中心に展開された。興味深いベンチャーとして取り上げられたのがAirlight Energy ManufacturingのCTO、Andrea Pedretti氏の講演だ。

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