アシストは1月11日、1月1日付けで同社取締役社長に就任した大塚辰男氏による就任会見を開催、あわせて新経営体制と今後6年間を見据えた新中期経営計画「弾丸-2017」を発表した。社長交代は同社の40年の歴史で初めてのこと。
長きに渡って同社を牽引してきたビル・トッテン前社長は同日付で代表取締役会長に就任した。トッテン会長は「昨年から新規事業はすべて大塚社長(当時は常務)が担当してきた。自分はもう70歳。まだ元気なうちにいちばん社長にふさわしい人に会社を任せたいと思ってきたがそれが大塚社長。私より経営者に向いている」と全幅の信頼を寄せる。

大塚辰男新社長(左)とトッテン会長
新社長となった大塚氏は1956年生まれ。1983年、システムソフトウェア事業部マネジャーとしてアシスト入社。前職はメインフレームの技術者だったという同氏だが、その後営業に転身、2004年に取締役に就任した後、2009年より営業統括担当として常務取締役に就任している。社長就任の挨拶では「2011年は日本もアシストも多事多難の1年だった。そのような中、世代交代で社長に就任することになり、本当に身が引き締まる思い」と語り、「アシストに在籍した28年で、お客様を大切にする感覚を肌で感じ、身につけてきた。これが自分の財産。今後も顧客志向を貫いていきたい」と語る。
同社は今年3月で創業40周年を迎える。これに伴い発表された新中期経営計画「弾丸-2017」は、今後6年を「次の40年の基盤とする」(大塚氏)ことを目標にしたもの。具体的には「商用ソフトとオープンソース、この2つにアシストのサポート&サービスという“魔法の粉”をかけ、メーカーでは出せない付加価値をお客様に提供する“超メーカー”になる」と掲げており、さらに事業の柱として、
- データベース
- BI
- 運用管理ソフト
の3つを掲げ、これらに経営資源を集中するとしている。
「たとえばデータベースの場合、我々はOracle製品のサポートは日本オラクルという会社ができる前から行っているので非常に愛着がある。一方でお客様のニーズは多様化しており、PostgreSQLやMySQL、MariaDBなどにもサポートを広げてきた。これはメーカーにはできないこと。現在はNoSQLへの注目が高まっており、MongdDBなども選択肢として挙げられる。だが、なんでも手を広げるのではなく、サポート体制が整ってからお客様に提供するという姿勢は商用ソフトもOSSも変わらない」(大塚氏)
また、顧客に対しては「3つの約束」として、
- めげない…末永いお付き合いのため、顧客が提案を断りやすくする
- 逃げない…課題やトラブルから逃げない、顧客や取引先と一緒に汗をかいて課題解決
- あまり儲けない…従来20日かかっていた仕事を10日に短縮
を掲げていくとしている。大塚氏は「現在、関連企業や協力企業の従業員も入れると1000名を超える規模になっている。母体が大きくなれば意思決定に時間がかかりやすくなるが、大事なお客様対応に時間がかかることは許されない。そのため、新体制では経営と業務執行を分け、責任と権限を明確にしている」と、顧客志向を前面に押し出したものであることを強調している。新経営陣として大塚氏は自身で新たに5名の幹部を選出しており、トッテン会長も「非常にすぐれた選択」と評価する。
「弾丸-2017」では6年後の2017年には売上300億円を達成することを目標にしている。「弾丸」というネーミングには賛否両論あったが、「破壊というイメージをもたれるかもしれないが、破壊すべきものは破壊したほうがよいという考えのもと、弾丸のように突き進む」(大塚氏)との方針だ。
大塚新体制の下、6年後に超メーカーとなるべく、アシストの新たなスタートが切って落とされた。