米金融大手のCitiは米国時間3月8日、個人向けの口座管理アプリ「Citibank (Kindle Fire Edition)」をリリースした。Amazon.comのタブレット端末「Kindle Fire」の専用アプリという点が特徴。この動きからは、ポストPC時代の金融サービスとネット企業が抱える問題の手がかりも得られる。
Citibank (Kindle Fire Edition)では、支払いや送金の履歴などをグラフィカルに表示する機能のほか、個人向け金融サービスのMint.com(Intuit傘下)と連携して支出や支払いに関する習慣を分析する機能も提供する。当面は米国でのみダウンロード可能だ。
米コンサルティング会社のJavelin Strategy & Research(JS&R)は最近の調査レポートで、銀行業に進出しつつあるネット企業として、Apple、Google、Facebook、Amazonの4社を挙げた(まとめて「Gang of Four」と呼んでいる)。同社では、Gang of FourがポストPC時代の金融業をリードするとの見解を示している。
一方でGang of Fourにも課題はある——金融サービスの提供にあたって必ず必要な「信頼」という課題だ。JS&Rが金融情報の信頼性を調査した結果、最も信頼できるブランドはVisaで、全体の28%の消費者が信頼しているという。第2位にはネット決済サービスのPayPalが23%でランクインするが、以降は既に金融分野で確固とした地盤を築く企業の名が並ぶ。
8位にはネット小売事業を主軸に据え、消費者のお財布に近しい存在といえるAmazon.comが11%でランクイン。Appleは5%、Googleは4%、Facebookは2%と、Gang of Fourは信頼されているとは言えないランキングとなった。
JS&Rによると、2011年、消費者6人のうち約1人が少なくとも1回はモバイル経由で購買行動を起こしたという。CitiがKindle Fire専用アプリをリリースしたのも、金融分野でもモバイル化が加速するとみているからだろう。
Appleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏は米国時間3月7日、新iPadを発表するイベントの中で「ポストPC」という表現を何度も用いて新デバイスの活用を訴えた。モバイル化の影響は情報通信や小売だけでなく金融でも急速に拡大するとみられるが、Gang of Fourに代表されるネット企業の課題は信頼性にあるといえそうだ。
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