EMCのセキュリティ部門であるRSAで最高情報セキュリティ責任者(CISO)を務めるEdward Schwartz氏は、同社が2011年4月に買収したNetWitnessの最高セキュリティ責任者(CSO)だった人物だ。
Schwartz氏に、EMCという企業についての印象、またセキュリティ業界の方向性について聞いた。
--EMCがNetWitnessを買収して約1年が経過したが、あの時期はちょうどRSAへのサイバー攻撃が発生した頃だった。買収について、またそのタイミングについて感じたことを教えてほしい
RSAで最高情報セキュリティ責任者(CISO)を務めるEdward Schwartz氏
EMCは買収の数年前からNetWitnessのユーザーで、RSAとはSIEM(セキュリティ情報およびイベント管理)製品の「RSA enVision」などでパートナー関係にあったことから、以前からEMCとRSAのことはよく知っていて、買収話が持ち上がったときはとても興奮した。攻撃に対抗するにはビッグデータレベルでのデータ可視化が必要で、EMCがデータセンターやクラウド、モバイルなどの分野で提供するストレージでのビジネスチャンスが拡大するためだ。NetWitnessがより幅広い世界で活用されるすばらしい機会だと感じた。
RSAへの攻撃が発生したのはちょうど買収が決まったのと同時期だったが、それは単に偶然に過ぎない。(関連記事:RSA会長、自社が受けたサイバー攻撃の体験を語る)
ただし、NetWitnessが攻撃を検知するのに役立ったのは事実だ。高度な攻撃を検知するには従来のセキュリティ製品では十分ではない。だからこそEMCはNetWitnessを買収しようと考えたのだ。
--買収されてEMCの一員となった今、EMCの印象は?
この業界では今、ITの仮想化が進み、クラウドへと移行している。仮想化においてもクラウドにおいても、セキュリティは重要な課題となる。EMCは、従来の環境と仮想環境をクラウドへ移行するという分野ではリーダーだ。そして、EMCのセキュリティ部門であるRSAがセキュリティ面のサポートをしている。NetWitnessは、クラウドコンピューティングを戦略とする企業のコアとなる部分を支援できる機会を得たことになる。
一部のIT企業はまだ古い考えを捨てていないが、EMCは常に今後5年について考えている。クラウド移行とクラウドの信頼性を高めるという点において前向きな視点を持っているEMCは、私にとっても非常に魅力的な企業だと感じている。