日本IBMは4月12日、新分野のシステム製品と位置付ける“エキスパート・インテグレーテッド・システム”として「IBM PureSystems」を発表した。
サーバ、ストレージ、ネットワーク機器、仮想化、管理機能を最適に統合したインフラストラクチャシステム「IBM PureFlex System」を5月21日から出荷。さらにミドルウェアを統合したプラットフォームシステム「IBM PureApplication System」を8月1日から出荷する。
同社代表取締役社長の橋本孝之氏は「代表取締役社長として製品発表会見に出席するのは年1回程度だが、今回の製品発表は、その中でも世界6カ国で同時発表する大変重要なもの。101年目を迎えたIBMが、次の100年のスタートにあたり、今後のITの方向性を占うことになる重要なものになる」とPureSystemsの重要性を説明する。
その上で橋本氏は「2012年4月12日(米国時間の4月11日)は、ITの歴史的な転換点の日になる。これまでの常識と経済性を根底から変える、ITの新たな考え方、新たな製品がスタートする日になる。エキスパート・インテグレーテッド・システムは、汎用機の柔軟性、アプライアンスの使いやすさ、クラウドの俊敏性を兼ね備えたシステム。5年をかけずに大きな事業へと成長させたい」と意気込みを明らかにしている。
橋本氏は「1990年代半ばには運用管理コストはサーバシステム全体の30%程度の比率だったが、最近では約70%にも高まっている。このままでは運用コストに潰されてしまう。これをどう解くのかというのがエキスパート・インテグレーテッド・システムの役割になる」とも説明。システム製品事業 テクノロジー・リーダーの緒方正暢氏は「試験では運用コストが半減するなどの効果が出ているが、今後さらなる検証を進めたい」と、PureSystemsの可能性を強調している。
PureSystemsは、新たな製品ブランドと位置付け、今後社内に専門部署を設置するという。社長直轄のような組織体系にはしないというが、「ハードウェアとソフトウェアの人材を統合し、現在のほかのハードウェア製品群と横並びとする組織に位置付ける」(橋本氏)としている。
インフラストラクチャシステムのPureFlex Systemは、CPUとしてIntel XeonかPOWER 7を選択でき、AIX、IBM i、Linux、Windowsの4種類のOSと、VMWare、KVM、Hyper-V、PowerVMの4種類のハイパーバイザを利用できるのが特徴。ストレージには「Storwize V7000」を組み込んで提供していくことになるが、今後、新たなストレージへの対応も図っていくという。
小規模から中規模までに最適なインフラストラクチャ環境を提供するExpress、ストレージとネットワークのサポートを含む、アプリケーションサーバのためのインフラストラクチャ環境を提供するStandard、拡張性のあるクラウド環境に適したインフラストラクチャ環境を提供するEnterpriseを用意している。Expressの最小構成価格は税別で2350万円となっている。
プラットフォームシステムのPureApplication Systemは、PureFlex Systemの機能に加えて、データベースやアプリケーションサーバ、さらにはアプリケーションの稼働に必要なミドルウェアもあらかじめ組み込んでいる。CPUが608コア、メモリとして9.7Tバイトを搭載した最上位のW1500-608など4つの基本構成を用意している。
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PureSystemsは、処理する業務の内容や量に応じて、最適なハードウェアやソフトウェアの構成を「パターン」として定義。これにより、自動的に最適な資産を構成。システムの構成や運用作業などの負担も低減し、高度なITをビジネスに活用できるという。