最近の調査によると、高給を得ている最高情報責任者(CIO)は、チームの管理よりも上級幹部らとの関係の構築を重視しているという。このことは何を意味しているのだろうか?
今回の記事では、以下のような結果を伝えるSearchCIOのアンケート調査(さまざまな市場の中級および上級のIT幹部875人を対象として実施された)を採り上げたい。
高い給与を得ているCIOたちは、ITチームが遂行しているプロジェクトの管理よりも、上級幹部との関係構築に重点を置いているという。
TechTargetのシニアライターであるLinda Tucci氏は、同調査のこの部分に関して記事を執筆している。
Tucci氏は以下のように書いている。
高い給与を得ているCIOは、低い給与しか得ていないCIOに比べると、上司や業務部門とより良い関係を築いている。彼らは経営管理層からの強い支持を取り付けており、配下のITチームは業務部門から高い評価を勝ち取っている。ところが、業務部門がIT部門を高く評価しているにもかかわらず、高い給与を得ているCIOは、低い給与しか得ていないCIOに比べると、自らのITチームに対して厳しい評価を下しているという。
正直に言って筆者は、この文章を最初に読んだ時、「上司(や業務部門)とより良い関係を築いている」という表現に目を奪われ、ネガティブな印象を抱いた。誰もが知っているように、マネージャーのなかには、自らのチームを効率的かつ実践的な部隊にすることよりも、上司あるいはその上司への印象を良くすることだけに心血を注ぐという、肩書きだけのマネージャーもいるためだ。最高経営責任者(CEO)に良いところを見せようとしたマネージャーによって、到底不可能なプロジェクトの遂行を押しつけられたITプロフェッショナルの愚痴は、筆者自身も嫌というほど耳にしている。
しかし、改めて読み直してみると、この文章の真意は「業務部門とIT部門の連携こそが成功の鍵である」というところにあるのだろう(数年前には、この言葉が嫌というほど使われていたため、その言葉を聞くたびに酒を飲み、最後まで酔いつぶれなければ勝ちというゲームをしていたのであれば、今頃はアルコール依存症更生施設に入所しているか、川岸に停めたキャンピングカーで生活していることだろう)。この手の言葉(「戦略的連携」や「最高○○責任者の椅子を手に入れる」など)はどれも、皆がこぞって口にしていた、いわば流行語である。
だが、ご存知だろうか?ある考え方を毎日吹き込まれたからといって、その重要性が低下するわけではない。そして業務部門とIT部門の連携を実現するには、両部門の間に立ちはだかる情報の壁を破壊しなければならないのである。
また、高い給与を得ているCIOほど自らのITチームに厳しい目を向けているという点についてはどうだろうか?CIOが自らのチームに厳しい目を向けるのは、チームに「媚び」を売ったとしても何の得にもならないためだと考えるのは簡単である。実際、その通りというケースもあるはずだ。しかし筆者は、業務部門のニーズを理解し、それを実現しようとすることから来ているケースもあると考えている。自らのチームに批判的な目を向けるCIOは、チームのなすべきことを理解しているとともに、チームが期待に応えられていないと考えているのかもしれない。
問題となるのは、CIOの期待がチームの実力を上回っており、本人がその事実に気付いていないという場合なのだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。