Amazon.com傘下のアマゾン ウェブ サービス(AWS)は、2011年3月初旬に開始した「AWS東京リージョン」の初年度の成長率が、従来のどの地域よりも大きかったことを明らかにした。現在開設しているリージョンは、米東海岸の北バージニア、同西海岸の北カリフォルニアおよびオレゴン、欧州のダブリン、アジア太平洋のシンガポールおよび東京、南米のサンパウロ。
東京リージョンでは3月初旬の開始から3週間後に、2番目のゾーンを追加。複数ロケーションでアプリケーションとサービスを重複して提供することで、顧客企業はバックアップシステムとして利用でき、可用性の高い設計が可能になった。
2012年2月には、東京に続いて大阪に「Amazon CloudFrontエッジロケーション」を追加。静的なコンテンツとストリーミングコンテンツを低レイテンシかつ高速のデータ転送で配信できるようになった。
日本でAWSを利用してサービスを構築し、ビジネスを運用している組織は数千に上るという。東京証券取引所、三井物産、ヤマハ、ローランド、ソネットエンタテインメント、リクルートなどが一例だ。AWSはいくつかの導入事例を紹介した。
東京証券取引所では、有価証券の売買もしくは市場デリバティブ取引を行うための市場施設の提供、相場の公表および有価証券の売買の公正の確保などの業務を行っており、AWSを運用機能やサービス監視機能の検証環境として利用しているという。ITサービス部調査役、平山毅氏は「AWSを使用するまでは実際にサーバを購入しており、保守費用を加味すると莫大な費用がかかっていた。AWSでそれが10分の1になった」としている。
また、テレビショッピングを実施しているトーカ堂のインターネット通販サイト「北さんのオンラインショップ」では、PC、スマートフォンなど異なるデバイスからアクセスを可能にしており、テレビショッピングがオンエアされた際には膨大なアクセスがあるという。そのため、必要な時に必要なだけリソースを使用できる環境を構築する必要があった。結果として、インターファクトリーのSaaS型ECサイト構築システム「えびすマート」を導入。えびすマートはAWSで動作するソフトウェアだ。
東京リージョンの成長について、AWSの上級副社長、アンディ・ジャシー氏は「東京リージョンでのレイテンシは一桁のミリセカンドに抑えている。新興企業から大企業、政府機関など、あらゆる規模の企業でAWSが急速に普及している」とコメントしている。