アシストは6月18日、同社内部で従業員が使うPCのOSとしてLinuxディストリビューション「Ubuntu」への移行が7月末で完了する予定であることを発表した。正社員や契約社員、派遣社員を含む950台のPCでUbuntuが稼働する。
同社は2006年にオープンソース(OSS)のオフィスソフト「OpenOffice.org」の社内導入に取り組み、2007年2月から全社の標準のオフィスソフトとして運用している。自社での経験をOpenOffice.org支援サービスを提供している。
その中で「OSSのOSもサポートしてほしい」というユーザー企業の要望に応えるために、2011年6月に英Canonicalと提携し、Ubuntu向けサポートサービス「Ubuntu Advantage」も提供している。このサービス提供にあわせて、従業員が利用するクライアントPCをすべてWindowsからUbuntuに移行する方針を決定している。
2011年7月にUbuntuデスクトップを社内導入するプロジェクトを立ち上げ、各部署の代表50人がUbuntuを導入して、プロジェクト内部で既存のWindowsアプリケーションの利用状況の確認や課題に対する解決策の検討と準備を開始した。オフィスソフトは2007年2月からOpenOffice.orgに移行しており、Ubuntuに搭載されているオフィスソフト「LibreOffice」(OpenOffice.orgの派生オフィスソフト)に変わっても問題は発生しないと決断した。
Windows上で稼働する社内標準のメーラーからOSSの「Mozilla Thunderbird」への移行は、メールデータを移行するツールを用意することで問題なく行えた。標準ブラウザは操作性などを検討した結果として「Mozilla Firefox」で支障はないと判断した。
業務で利用している営業支援システムなどWindowsでしか動作せず、すぐにUbuntu対応が難しい一部のアプリケーションについては、利用者を限定した上でアプリケーション仮想化を使用して、暫定的に対処することにしている。
準備検討段階で課題となったのが、共有で利用している複合機の使用時に認証が必要なドライバが提供されていないということだった。この課題に対しては、複合機メーカーからの技術情報の開示とCanonicalの協力で、社内開発で解決している。
エンドユーザーからのトラブル報告や操作についての問い合わせは、外部に提供しているUbuntu Advantageを提供するサポートセンターが対応する。すべてのPCはUbuntu Advantageが提供するシステム管理ツール「Landscape」で集中的に管理し、暗号化などもUbuntu上で稼働するOSSを利用している。
移行の目処が立ったことから、今年4月に中日本支社、5月~6月上旬に西日本支社に所属する従業員のPCのOSを一斉にUbuntuに移行。市ケ谷本社は6月末までに移行し、全社の移行完了が7月末を予定している。