レンタルサーバ事業者のファーストサーバが障害で顧客のメールおよびウェブデータを消失した問題で、ユーザー企業への影響や今後の展開などを、IT専門の調査会社ITRの内山悟志代表取締役が以下のようにコメントした。
データ消失は前代未聞
障害はともかく、データセンター事業者によるデータの消失というのは前代未聞だ。バックアップを取っていなかったとすれば、利用企業としてはどうしようもない状況といえる。事業者としては、信用を失うことになるだろう。
だが、これをユーザー企業が法的手段に訴えても、満足できるような補償は受けられないだろう。一般に、契約内容は障害時に「利用料を全額もしくは半額返還する」といったものであり、あくまでも企業が支払った金額が対象になる。
ITRの代表取締役、内山氏
契約書に規定がない限り、障害によってビジネスが止まったことによる損害というのは、想定される損害額が10億円でも100億円でも賠償請求は難しい。あるとすれば、和解金もしく違約金という形だろう。個人情報を漏えいした際に、各種のカードを配ったりすることがあるが、そういった対応が1つの目安になる。
プログラムのバグが原因だとすると、あくまでも推測だが、人為的なオペレーションミスが疑われる。バックアップしたときのファイルが空ファイルだったとか、である。
本当に、データを消失したとなると、ユーザー企業は今後事業者と契約を交わす際に、SLAを慎重につめなくてはいけなくなるだろう。バックアップを何カ所で取っている事業者なのかなどである。
今回の話が広く知れ渡ると、ホスティングやハウジングといったサービスをユーザー企業が改めて見直すきっかけになる可能性が出てくる。結局は、自社でバックアップを取る必要があるとの結論に至ることもあるだろう。
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