クラウドの導入--ユーザー自らでチェックすべき10項目

Margaret Dawson (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2012-07-13 07:30

 クラウドソリューションを評価する際には、その全貌を把握しなければならない。本記事では、そのためにあなたが検討しておくべき10の重要なことがらを解説する。ベンダーはこういったことに触れてくれないかもしれないのである。

 筆者はクラウドコンピューティングが実際に価値をもたらすものだと心の底から信じている。しかし、どのようなテクノロジや製品であっても、詳細な調査を実施し、さまざまな宣伝文句の中から真実を洗い出すのは購入者の責任なのだ。ただクラウドの場合、どのようなベンダーも、自社のソリューションが最も使いやすく、コストを抑えられ、迅速に配備でき、セキュリティも完璧だとうたっているため、こういった責任を全うすることは一筋縄ではいかないかもしれない。とは言うものの、クラウドというものがすべて同じように作られていない以上、宣伝文句をうのみにするのではなく、書類上の細かい注意事項にも目を通し、さらにはどこにも明記されていない事実を導き出す努力が必要となるわけである。

#1:統合における懸念

 公平を期すために書いておくと、事前に統合について明確に説明してくれるクラウドプロバイダーも一部には存在している。ただし、彼らはクラウドへの統合を本業とするベンダーである。それ以外のベンダーのほとんどは、こういった説明を行っていない。自社の環境にSaaSアプリケーションを導入しようとしている、あるいはウェブアプリを構築するためにPaaSを活用しようとしているのであれば、統合のことを熟考するようにしてほしい。今日からSAPを運用するにもかかわらず、支社ではNetSuiteをインストールしようとしていたとしたら、どういったことが起こるだろうか?統合を行わずして重要なERPデータをやり取りするというのは、運を天に任せるようなものである。クラウドに飛びついた後で、統合にまつわる問題に直面するようであってはいけない。配備を行う前に統合のコストやマネジメント、実装をしっかり考慮しておいてほしい。

#2:隠れたコストや将来における価格階層

 クラウドを採用する重要な動機の1つにコスト削減があるため、初期の月次費用以外のコストも見極めておくことが肝要である。価格モデル一式を頭に入れておくとともに、ユーザー数の増加や処理能力の増強、あるいは機能の向上といったことで、どの程度コストが増加するのかを完璧に理解しておいてほしい。ベンダーは「サポート単位」に課金してくるのだろうか?新バージョンへのアップグレード費用は含まれているのだろうか?

 また、「バケツ」とでも言うべき価格階層が存在することも多く、この階層に相当するサービスを選択した場合、コストの著しい増加を招くこともある。さらに、ソリューションの投資収益率(ROI)や評価指標を明確にする方法を見出しておく必要がある。期待する結果が定量的なものであるか定性的なものであるかに関わらず、コストに見合うものとなることを確認しておいてほしい。この点は、初期配備の成否というものが今後の実装に影響を与えることを考えると、クラウドの導入を検討している企業にとって特に重要となるはずだ。

#3:本当の稼働時間

 クラウドプロバイダーの売り文句を聞くと、彼らはクラウドの稼働率を向上させる何らかの秘法を知っているに違いないと思うはずだ。ほとんどのクラウドプロバイダーは、99.99〜99.999%という稼働率をうたっているのである。ただ、ここではっきりさせておきたいのは、どのようなシステムでもいつかはダウンするということだ。しかし、ここで重要となるのは、どれだけ早く回復できるか、すなわちインフラがフェールオーバーや災害復旧のことをどこまで考えて構築されているのかによって、あなたの業務の停止時間が大きく左右されるということである。稼働時間の実績を指標として開示しているベンダーはほとんどないものの、過去数カ月間のレポートやメンテナンススケジュールを要求したり、既存顧客に尋ねてみたりすることはできるだろう。一部のベンダーはこういったことを積極的に行っている。例を挙げるとSalesforce.comは各種の統計情報をすべてウェブページ上で公開している。

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