シトリックス・システムズ・ジャパンは7月17日、プライベートイベント「Citrix iForum 2012 Japan」を開催。米Citrix Systemsの社長兼最高経営責任者(CEO)であるMark Templeton氏が初日の基調講演に登壇した。
シャツ姿で登場したTempleton氏は、実は飛行機に預けた荷物がなくなるトラブルに見舞われ、着る予定だったスーツやPCなどが手元にない状況であることを告白。着る予定だったスーツはないが、披露する予定であったプレゼンテーション内容については、「手元にパソコンがなくても問題なく披露できる」とスピーチをスタートした。
Templeton氏は、「今回は最初にモバイルというテーマで、次にクラウドというテーマでお話をさせて頂きたい」と二つのテーマに沿ってスピーチを行うことを説明した。
最初にモバイル戦略について話を進めたTempleton氏は、現在はモバイルテクノロジの進展でワークスタイルとライフスタイルの時間割りが大きく変わったことを指摘。「従来は仕事は会社に行ってするものだったが、現在では家の中でも仕事ができる。テクノロジの進化はビジネススタイルを変え、企業のビジネスモデルを変え、人生のあり方を変えるものとなった」
こうした変化とともにテクノロジにも変化が生じ、「PCの時代はWindowsで定義され、ビジネスにおいてもWindowsが圧倒的なシェアを誇っていたが、今はWindowsを超えて、AndroidもiOSも必要な時代となった」と対応プラットフォームを拡大する必要性があると強調した。 「モバイルワーカーが利用するアプリケーションは、バックエンドは全てクラウドで動作し、コラボレーションがしやすい環境が整っている。利用するデバイスとしてiPadを使って作業するといったことも可能となった」
モバイルワーカーに大きく寄与するツールとして、Citrixではクラウドベースのデータストレージサービス「ShareFile」を提供しているが、新たに「ShareFile with StorageZones」が加わる。Templeton氏は「ドキュメントの共有をどのように果たしていくのかに対しては関心が高い。StorageZonesは現在テクニカルプレビュー版だが、この段階から各方面から高い関心が寄せられている」と説明した。
続けて紹介した「Citrix CloudGateway 2」と「Citrix Receiver」は大きく変化するクライアント環境に対応しているものだ。従来のWindowsアプリケーションに加え、MacやLinux、iOS、Androidなど幅広いデバイスに対応する。Salesforce.comのようなクラウドサービスも利用できる。
新品でアプリケーションがインストールされていない状態の富士通製ウルトラブックを使ってデモンストレーションを行い、データセンター側に置かれたMicrosoft Officeを使ってのデモや、最初は利用できない状態だったExcelを利用できる状態にするといったデモも行われた。
この他、iPadやiMacでもWindowsアプリケーションを動かすなど、デバイスが多様化してもユーザー側は従来から利用しているアプリケーションを利用できる環境をCitrixが整えていることを紹介。Salesforce.com上のSaaSのデモも行い、Windowsアプリケーションからクラウドのサービスまでが利用できることをアピールした。
そして、デスクトップ仮想化ソフトウェアの「XenDesktop」に新たに加わった新機能「Remote PC」を紹介。Remote PCはFlexCastテクノロジの新しい配信方式であり、データセンターにサーバやストレージを追加して仮想デスクトップ環境を構築せずに、オフィス内のPCをリモートから使用可能にする。PCの社外持ち出しを禁止している企業を想定して開発された。